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止まらないビールの需要減

 私には飲酒の習慣がない,というよりは,お酒が飲めない。

 人生の楽しみの一つを失っている,という宣告を下されたことが何回もある。

 体格を見てほとんどの人が「信じられない」と言う。「飲んだらどうなるの」と聞いてくるのがわずらわしい。

 外国人のようにわかりやすく納得させたい場合は,ウソなのだが肝臓を指さすとうなずいてくれてそれで終わりである。

 ビールの市場規模の縮小が始まったのは,1990年代後半,バブルがはじけてしばらく経った頃からである。

 ただ2000年頃までは,ビールより酒税の安い発泡酒(酒税法では,麦芽使用率が3分の2以上のものをビールという)の消費が増えており,ビール+発泡酒の消費量にはあまり変化がなかった。

 しかし2004年頃に,新ジャンル(麦芽を全く用いないもの)のビールが登場すると,ビール全体の需要はどんどん減り続けるようになった。

 メーカーは,ビール350ml当たり77円かかる酒税があるため,価格競争の意味でも発泡酒(約47円)や新ジャンル(28円)の投入によって生き残りを図ってきた。

 データを見ると,若者の飲酒習慣が大幅に低下していることが影響している。だから,業界としては,若者をいかにアルコールに近づけさせようとするかを考えているだろう。

 私が教員に採用された平成の初め頃は,とにかく「飲めないやつは人間じゃない」くらいに差別されたものだが,今では「飲まない人」の方が多くなっている。私もずい分と気が楽になった。

 飲める若者が減ったことを嘆いている50代が多いかもしれないが,健康診断をばっちり毎年やられると,気持ちもしぼんでしまう,ということにもなるだろう。

 テレビのコマーシャルでは,どれだけおいしそうに飲んでみせることができるかを競い続けている。タレントは撮影前にサウナなどに入ったりして,「のどが渇いている状態」をつくらされているのだろうか,などと余計なことを考えてしまう。このようなCMがなくなったら,さらに需要は落ちてしまうのだろうか。

 酒類全体からビールの割合は,1989年に71%だったのだが,2016年は何と31.1%にまで落ち込んだ。

 増加率が最も高いのはリキュール類で,1%くらいしかなかったのが24.5%にまで増加した。

 ワインの消費も増加傾向にある。

 「お酒と言えばビール」という世界ではなくなった。飲み会でも,「最初は全員ビールで乾杯」というと,拒否する人が出てくるから,いちいち一人一人注文を聞くことになる。

 「多様化」という流れは,どの業界でも起こっていることだろう。

 「1強」が去った後に,「成熟」がやって来る。

 政治の世界でも似たようなことが起こらないだろうか。

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  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
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    「楽毅」第二巻より
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    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より