なぜ360度評価が役に立つのか
人物に対する評価というものが,いかにあてにならないものであるかは,360度評価を実施している企業ならしっかりとわかっているのだろう。
ダメな人の評価はたいていダメなものであるし,仕事ができる人が,他の人の評価を正しくできるとも限らない。
360度評価を実施すると,評価能力の高さを人事部は把握することができるので,将来の管理職候補が見えやすくなるという利点がある。
10人が低い評価をつけているのに,1人だけ高い評価をつけている人がいるとする。
そして,その1人の評価の方が正しかったことが後でわかることがある。
こういう人物を,組織はしっかりと育てるべきである。
学校の管理職には,「評価者訓練」というものがある。
ケーススタディを読ませて,自分なら,どういう評価を事例の教員にするか,どんな指導をするかを書かせて,管理職としての評価能力,教員を指導する立場としての資質能力を向上させるための研修である。
やはり管理職としての能力に乏しい人は,人物に対する評価もいい加減なものであることがわかる。
そもそも管理職には向いていない人というのは,管理職になった後でわかるものだが,教育長としては,相対評価で校長の序列をつけなければならないために,こういうダメな人もそのときだけは役に立つ。
子どもに対する評価が,どれだけ適切なものなのか。
適切でないことが明らかになってしまう調査を実施することは難しい。
なぜなら,その評価が入試の得点として使われているからである。
いい加減なデータが合否にかかわってくることを防ぐためには,当日得点の割合を高めていくしかない。
心ある教員としては,できるだけ多くの評価情報を集めて,子どもを「武装」させてあげたいと思うだろう。
しかし,「評価集め」をしている子どもを見ることほど,哀れに思うことはない。
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