正倉院展を訪れて
先週,学会で奈良に行ったついでに正倉院展を訪れ,奈良時代の貴重な宝物を目にすることができた。
宝物はもちろんだが,私の印象に強く残っているのは宝物をじっと見つめる高齢者たちの熱心な態度だった。
仕事をリタイアした方々が,むさぼるように宝物を鑑賞する姿は,「年をとったらこうでありたい」と願うきっかけにもなった。
創作を仕事にしている方は,これほどの目で見つめられる作品をつくってみたいと思うに違いない。
私が出会ったこの「目」に近いものは,研究発表会に参加された先生方が子どもたちに向けてくれる視線である。
「偉い人」の話は半分以上の人が寝てしまうが,子どもよりもキラキラしているのではないかと思われるほど輝く視線で生徒の発表を見つめて下さった先生は,強く記憶に残っている。
これから正倉院展に駆け込む方に一言お伝えするとしたら,玄関入ってすぐ左の講堂でボランティアがしてくれる30分ほどの解説を,ぜひ聴いてから見学に入るべき,という一点である。
10分ほどかけて,光明皇后が写経させたものを読んでみたが,仏のありがたさを日本中に広めようとした熱意がひしひしと伝わってきた。
「本物」から得られる影響というのは,とても大きなものである。
子ども時代に全く感動を得られなかった博物館を,ようやく楽しめる年齢になってきた。
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