いじめがない(認知されていない)学校で,いじめがある学校よりもたくさん実施されていることとは?
「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」で注目したデータがもう1つある。
>いじめの日常的な実態把握のために,学校が直接児童生徒に対し行った具体的な方法
として特筆すべきは,
>「個人ノート」や「生活ノート」といったような教職員と児童生徒との間で日常的に行われている日記等
で,いじめを認知した学校と,いじめを認知していない学校の違いは以下の通りである。
いじめを認知した公立小学校で行っていたのは47.3%,公立中学校では82.8%,
いじめを認知していない公立小学校では,57.9%,公立中学校では86.0%で実施されていた。
これを統計的に有意なデータと言えるかどうか,わからないが,毎日子どもが担任教師に向けてのメッセージを送る仕組みがある学校では,「いじめを見過ごしやすい」と考えるより,「しっかり子どもとのコミュニケーションがとれているので,いじめが起こりにくい」と考える方が自然である。
こういう仕組みは,単純に労働時間を短縮すれば良いと考えるだけの「働き方改革」推進者から見ると,やっかいなものである。家にまで持ち帰ってコメントを書かなければならないようなものは,できればなくしたい(もちろん,適当に判子だけ押して返している教員も多いだろうが)。しかし,教育への熱意に介入すると,「働きがい強奪改革」になってしまう。
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