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近づきにくい人に近づく方法

 歴史の授業で,第二次世界大戦中,ルーズベルトがスターリンに近づいた方法を紹介した。

 ドイツへの攻撃要請を受けなかったチャーチルを嫌っていたスターリンに,ルーズベルトはある方法を使って「わかり合える仲間」となった。

 その話をしたら,米大統領が北朝鮮最高指導者に近づけたのも,公にはなっていないが,同じ方法をとったのではないか,と生徒がつぶやいていた。

 私はその発言を引き出すためにルーズベルトの戦略を紹介したいわけではないが,直ちに想像できた生徒には「あっぱれ」を出したい気持ちになった。

 本当は仲良くなりたくはない相手なのに,利用価値があるためにコミュニケーションをとりたい場合,好意を直接伝えるのではなく,他の人間(国)への悪意で打ち解け合う,という方法は,道徳の授業では議論ネタとして使えるかもしれない。相手に直接悪口を言っているわけではないので,バレなければ問題ないだろう(ルーズベルトの場合は後世に伝えられてしまったわけだが)という意見が出てくる。しかし,人の悪口で仲良くなるのは,最低だ,という反対意見がでる。別に仲良くなるのが目的ではないから,かまわない,などなど,立場は分かれるだろう。

 実際の教室では,あるいはSNSでは,いつも使われている手法である。

 学校ではすぐにひそひそ話の内容がバレ,「いじめ」案件にカウントされる代表例である。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より