近づきにくい人に近づく方法
歴史の授業で,第二次世界大戦中,ルーズベルトがスターリンに近づいた方法を紹介した。
ドイツへの攻撃要請を受けなかったチャーチルを嫌っていたスターリンに,ルーズベルトはある方法を使って「わかり合える仲間」となった。
その話をしたら,米大統領が北朝鮮最高指導者に近づけたのも,公にはなっていないが,同じ方法をとったのではないか,と生徒がつぶやいていた。
私はその発言を引き出すためにルーズベルトの戦略を紹介したいわけではないが,直ちに想像できた生徒には「あっぱれ」を出したい気持ちになった。
本当は仲良くなりたくはない相手なのに,利用価値があるためにコミュニケーションをとりたい場合,好意を直接伝えるのではなく,他の人間(国)への悪意で打ち解け合う,という方法は,道徳の授業では議論ネタとして使えるかもしれない。相手に直接悪口を言っているわけではないので,バレなければ問題ないだろう(ルーズベルトの場合は後世に伝えられてしまったわけだが)という意見が出てくる。しかし,人の悪口で仲良くなるのは,最低だ,という反対意見がでる。別に仲良くなるのが目的ではないから,かまわない,などなど,立場は分かれるだろう。
実際の教室では,あるいはSNSでは,いつも使われている手法である。
学校ではすぐにひそひそ話の内容がバレ,「いじめ」案件にカウントされる代表例である。
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