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教員の「多忙さ」への遠慮がもたらす「多忙さ」

 教員は,どんなに忙しくても,傍から(子どもや親から)「忙しそう」と思われないようにする努力が必要な職業である。

 学校=ブラックという印象によって,「先生は忙しい」という固定観念が定着しつつあるが,「忙しい」と思う暇があり,そういうオーラを発している教員には,子どもも保護者も相談しにくいだろう。

 「忙しいのにすみません」と断って相談を持ちかけるのは通常の社会人の礼儀だろうが,教員の立場からすると,子どもや保護者自身の深刻な悩み事の相談については,遠慮は無用である。

 夜の10時を過ぎて自宅に電話をかけてしまうのはどうかと思うが,「相談するタイミングで悩む」という余計な悩み事を増やしているうちに,問題が深刻化してしまうよりは,早めに相談してもらって,解決への糸口を共に考える時間が増えることの方が大事である。

 警察署や消防署に「今,忙しそうだから,事故が起きたがもう少し待ってから電話しよう」などと思う人はいない。

 素早い情報の共有や初動が大事なのは,教育も同じである。

 教員にとって必要な「本物のゆとり」とは何か。

 教育という仕事ならではの特徴を知っておきたい。

 ブラックになりやすい現場とは,必要な情報がすぐに入ってこない=優先順位がわかっていない人間が多いところである。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より