縄文女子と飯盛山のさざえ堂
飯盛山と言えば白虎隊・・・だったのが,今では「さざえ堂」の方だけを知っている,という人が多いかもしれない。
六角形でらせん状の廊下がある通称「さざえ堂」は,18世紀末に建設されたものだが,新聞やTV等で最近紹介されたことで,これを目当てに飯盛山に向かう人が増えているようだ。
「歴女」という言葉が登場してから,最近では「刀女子」などのバリエーションが増え,「土偶」に魅せられる「縄文女子」という呼び方も出来たようだ。
東京国立博物館で開催中の特別展『縄文―1万年の美の鼓動』も女性に人気らしい。
ある専門家は,「そもそも土偶は女性をかたどったものが多い」と解説をしてくれているが,「土偶に刻まれている妊娠線」というリアルな注目点を指摘されると,そういう教え方をしてこなかったことに少々後悔の念が生まれる。
ブームというものは,何をきっかけに広がっていくか,なかなか予測できない。
今までも「縄文展」はあちこちで開催されてきたはずであるが,「土偶に魅せられる人」がクローズアップされたことはなかったように思われる。
次のブームを探し出す,または,次のブームを創り出すことに躍起になっている人もいるのだろうが,さざえ堂も土偶も,ただのブームでもてはやされただけではもったいない。
「なぜ」「どうして」という疑問がしっかり引き出せるネタは歴史の場合,とても多く全国各地に転がっているはずであるから,「ブラタモリ」の「歴史版」が生まれてくることを期待している。
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