小学校英語教育の最大の欠点
理想と現実の開きが大きいものの一つに,日本人の英語能力があります。
勉強してもそれを実際に使う機会がほとんどない人が非常に多い英語は,小学校教員にとっても,「苦痛」「働き方改悪」の象徴のようなものだと思います。
私が考える最大の欠点は,「英語に対して苦手意識を持っている人が授業=指導と評価をすること」です。
実は「苦手な人ほど教えるのは上手」という,証明できるデータが一切ないことを根拠に小学校の英語教育を推奨している人もいるようですが,多くの保護者はすでに子どもたちを「英語の塾」「英会話の塾」に通わせ始めています。「教育のプロ」「実務のプロ」に任せたい,という欲求は,当たり前のものですし,実際に「成果」は目に見えて出てきますから,今後,こういう動きに拍車がかかってくることでしょう。
英語は中学校に上がる段階で非常に大きな差がついてしまう教科になってしまいます。
教師が「苦手意識」をもっているものに「道徳」があります(自分自身にとっての課題でもあるという自覚をしているまともな人ほど,苦手意識をもつものです)が,「成績」を出さなければならないものではないので,嫌な時間ではあっても,テストがない分,負担感が重いわけでもありません。「道徳」の塾に通わせる保護者もいません(柔道や剣道などを「道徳教育」の一環で習わせている人もいるかもしれませんが)。
小学校教員には,「算数が苦手」「社会が苦手」といった人も,たくさんいます。
自分自身の内容理解が浅いために,「学習方法」の研究に頼る傾向にあるのは昔からでしょうが,「英語」のような「技能教科」は,方法と内容が一体化しているので,誤魔化しようがありません。
高学年の教科担任制など,小学校教育のより望ましい体制への移行を促す犠牲としてくらいしか機能しないように思われる英語教育。いよいよ始まります。
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