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なぜ東大を選ぶのか?

 3年前に中学校を卒業させた私のクラスの生徒3人にたまたま会って,東大の入試問題の話になった。

 意見が一致したところは,やはり東大の問題は良問が多いということである。

 良問の定義は様々であろうが,「基礎的な知識と技能,それなりの思考力と表現力があれば解くことができる問題」と呼べるだろうか。

 知識問題=「知らなければ解けない」という印象を持っている人が多いと思うが,いくつかの知識を組み合わせれば,出題者の意図が見えてきて,答えにたどり着ける問題も良問である。

 私は高校まで理系だったので,文系科目は教科書と参考書,問題集で勉強するしかなかったが,一番ためになったのは東大の過去問だった。

 「これならできるかもしれない」と思わせてくれるような入試問題を出題できる大学が増えてほしい。

 収入目当てで大量の受験生をさばくような「金儲け用入試」に頼ることを「違法」とする法律でもつくってほしい。

 「ただ覚えるだけ」の作業をひたすら繰り返している中学,高校,大学の受験生たちは本当に気の毒である。
 
 教え子たちと「要領よく生きる力」が生かせる数少ない大学の話をしながら,「やはりアタマのいい先生がいる大学で,もっとアタマをよくしたい」と思わせる大学教育であってほしいと思った。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より