全国の「ブロック塀」問題
尊い命がまた地震によって奪われた。
「その命は奪われずにすんだはずだ」という声は,どんな災害でも,必ず上がってくる。
あのブロック塀は,明らかに「高すぎ」だった。
「目隠し」目的で継ぎ足したブロックの代わりに,もともとあった「金網」にシートをつければよかったはずだ,ということは後になって考えれば,だれでも思いつく。
「業者の点検によれば,安全だった」のならば,「安全」の基準が間違っていたことになる。
資格のない人間の点検など,「点検」とは呼べない。
首都直下型地震が発生した場合,そもそも「安全」な場所などあるのだろうか。
自分の身は,どうにかして自分で守らなければならない。
ビルの下にいれば,ガラスが降ってくる,
橋の上にいれば,崩落するかもしれない,
といった「危険察知能力」は,どうやって高めることができるのか。
「防災教育」の重要性がますます求められるようになるだろうが,カバーすべき範囲が非常に広い。
「高い壁の近くはなるべく歩かないようにする」という判断力を,小学生にも求めるのか,どうか。
全国には,倒壊の危険性のあるブロック塀が至る所にある。
小学生の「町探検」のテーマにしてもよいのだろう。
多くの自治体では,「ブロック塀調査」を進めているはずだが,学校も,「調査」を教育委員会任せにするのではなく,保護者を巻き込んで,「危険地帯探し」をすぐにでも始めた方がよい。子どもの「調査」能力を高めることで,将来の災害で救える命はたくさんあるはずである。
「あいさつ運動」などが小学校になければ,犠牲にならずにすんだ,など,
災害後に後悔してしまうことは,山のようにある。
「危険」を声高に叫び続けると,何もできなくなるし,「いざというときは何とかなる」という「根拠のない自信」だけを頼りにしてはならない。できることから少しずつ,続けていくことが大切だろう。
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