職住近接の徹底をまずは教育公務員から
つい最近,「通勤時間の無駄」に関する持論を書いたばかりだが,最近呼んだ『地域再生の失敗学』(光文社新書)で,千葉市長の熊谷さんが同じ主張を述べていらしたのが印象に残った。
私自身は,教員になって最初の6年の職場は自宅から自転車で10分以内,次の5年は同じく自転車で15分以内(電車を使うと,駅から15分以上歩くことになる),次の2年は何と徒歩5分以内のところ(転居したので)だった。
この13年間で,もし家から1時間程度の職場に定期券で通っていたとしたら,安く見積もって年間10万円としても130万円の税金を使ってしまっていたことになる。「そんなはした金」と思う人もいるかもしれないが,節約したいのはお金だけではなく,時間である。
飯田泰之明治大学准教授の
>東京一極集中は明らかに東京のクリエイティビティを落としています。往復で二時間前後も通勤に費やしている都市で,人と会ったり仕事以外の時間や交流を持つことは無理がある。そんな大都市はやはりダメだろうと思いますね。
という言葉に,千葉市長も
>遊びも含めて二四時間を使っている人たちと,二二時間で互角に戦え,というようなものですよね。スタートから負けている。
と答えている。
>人口が減ってきたら,生産性を上げるしかない。生産性を上げるには「早く帰りたい」と思わせるのが一番です。通勤時間が長く,生活から労働を引き剥がして,人間としての暮らしを捨てさせて人々を働かせている国の,生産効率が上がるわけがないんです。
>とにかく通勤時間を短くしなければならない。職住を近接させなければいけない。それはこの国が人口減少を抑える中で,国際的な立ち位置を確保していく上で,絶対にやらなければいけないことです。
中学校教員の場合は,浮いた時間を使って学校に長くいるという選択肢をとる人が多いかもしれませんが,教育の仕事に「生産性」の概念はそもそも適していないので,「使命感にしたがって思う存分仕事をしたい」教員も応援してほしいものです。
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