小学校に望む本当の「働き方改革」=小学校が変われば「中1ギャップ」解消に一歩近づく
まともな学校では,自分で自分を「リーダー」と呼ぶような教師はいない。
生活指導というと,「それに適した先生」の仕事のように思えるかもしれない。
テレビドラマで「生活指導主任」の役者は,体が丈夫そうで,怖そうなタイプが選ばれる。
しかし,実際の教育現場で,優れた生活指導主任の資質は何かと問われれば,
私は「調整力」だと即答したい。
管理職はもちろんだが,教師たちの声に耳を傾けつつ,基本方針を徹底してもらえる「話法」が必要である。
「みんなで~しましょう」
「私たちは,~しています」
という「話法」で語れるかどうかが,まずは生活指導主任としての第一歩である。
自分の考え(あるいは管理職の考え)を他人に押し付けるタイプの人が生活指導主任になると,
どうしても教師集団のコミュニケーションが希薄になっていく。
生活指導には,日々起こる新しい事態への機敏な対応が求められる。
迅速,敏速,俊敏,・・・・そんな「動き」が生活指導の・・・・学校の,命運を握る,と言っても過言ではない。
しかし,「問題となる事態」を見過ごす教師が一人でもいると・・・・
あるいは,「問題となる事態」を隠す教師,一人で何とかしてしまおうとする教師がいると・・・。
共有されるべき情報が共有されないことが,「荒れる学校」から変われない原因の一つである。
授業は個人の技能次第でいくらでも生徒をひきつけることができるが,
生活指導は教師全体の揺るぎない統一感が命である。
だれの口からも,同じような状況では同じような言葉が発せられる学校であることが,
「荒れる学校」から変わるための条件の一つである。
「信頼される学校」に変わるために欠かせない条件の一つである。
だから,「私はこうした」という話をいくらしても,現場の教師の「助け」にはならない。
生活指導には,「私たちはこうした」という「話法」が欠かせない。
「私たちの学校は,すべての教師がすべての子どものことを真剣に考える学校です」
という言い方をすべての教師ができる学校づくりが,生活指導主任の最も大切な仕事となる。
しかし,小学校にはそもそもそのような「話法」が通用しない空気があるようだ。
学級ごとに異なったルールが存在するのは当たり前。
その理由。「子どもが決めたから」。
当然のことだが,「どうしてあっちはよくてこっちはだめなの」という話になる。
「クラスが違うんだから,当然だ」という「話法」になる。
こういう風土の学校では,教師たちが「私たちはこうする」という「話法」が使われることはまれだろう。
あっちでは試しに「学び合い」をやっている,こっちでは「ドリル中心」でやっている,
そっちでは「指導書どおり」にやっている。
授業はそれでいいのかもしれないが,
授業の基盤となる「生活」が,学級によって異なってしまっていては,中学校に進学したときのギャップに子どもは苦しむことになってしまう。
どうして学校にマンガを持ってきてはいけないのか。
どうして休み時間にゲームをしてはいけないのか。
どうして放課後にお菓子を食べてはいけないのか。
小学校のときは,よかったのに。
昔は「いけないものはいけない」という言葉が通じたが,今はそうではない。
小中のスムーズな接続に最も必要なのは,
学習指導の問題ではなく,
生活指導の問題である。
生活指導の「話法」の有無が,問題なのである。
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以上は,2014年2月16日の記事:『生活指導の充実を図るための教師の「話法」』の冒頭を一部改変したものである。
「私のクラスには,そんな問題はない」なんていう反応に意味がないこと,むしろ罪が重いことがわからない限り,小学校の学校経営がつとまるはずもない。管理職がいなくなるのも時間の問題だったのである。
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