教員が他の公務員と少し異なるところ
私は3年間行政の立場にいたので,教員の特殊性を客観的にながめることができました。
教員は,普段,「上司」の気配をそれほど感じずに仕事ができます。
行政では,「上司」がいなければ仕事が先に進めないようにできています。
数々の文書は,「法令通りに職務を遂行してきた記録」なのです。
そういう文書は現場ではほとんど皆無です。
その代わりに,子どもたちのために,記録をしっかりと残すこともできます。
私が作っていた学級だより,学年だよりは,今でも大切な財産です。
行政にいるときは,「すぐにすべきことが何もない」時間があります。
教員は,勤務時間のほとんどを常に「子ども」と一緒にいるので,いつも必ず「すべきこと」があります。
目の前にいる「子ども」は教育という仕事の対象であり,様々に掲げられた目標を達成させるために,多くの働きかけをしなければなりません。
消防士さんで言えば,火事が常に起こっている状況です。
警察官で言えば,犯罪が常に起こっている状況です。
たとえは悪いですが,たとえに近いことが本当に起こることもしばしばです。
裁判官は,常に複数の案件を抱えて,頭をフル回転していないといけないように,教員も,同じような状況にいます。
ですから,生半可な使命感では続かない職業です。
その「半端のなさ」を理解してもらえる機会が,大学にはあまりないのでしょう。
「動機付け」も非常に大切なのに,それを得るきっかけもない。
覚悟が決まっていない人が現場にいることが,どれだけ教員たちと子どもたち両方の負担になるか,分かってほしい人は分からないもので,それほど気にする必要がない人が気にしてしまう。
世の中,難しいものです。
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