10月2日 豆腐と望遠鏡
学校現場で生活指導をしていると,「豆腐にかすがい」の連続で疲弊する場合がある。
家でとんでもない暴力を振るわれている子どもも,現在の学校ではまず体罰を加えられることはない,とわかっているから,とても伸び伸びとしている様子が目に浮かぶ。
自分のタブレット端末か何かを取り上げた教師を蹴っている高校生の動画を見たが,蹴っている高校生よりも,後ろで笑っている高校生,動画を公開する子の方が,「よっぽどだ」と多くの人が思っているだろう。
教師の立場で言うと,子どもに背中を向けて蹴りを受けるような人は,絶対に子どもからモノを取り上げてはならない。
モノを取り上げられた子どもが逆上する様子を見た経験がある人なら,モノを取り上げるとき,よほど気をつけないと,「犯罪行為」を誘発することを知っているはずである。
どっちもどっちというのが第一印象だが,私が見たニュースで磯田道史さんがとてもいいコメントを発していた。
「これはチャンスと捉えるべきだ」
まさにその通りである。
望遠鏡から眺めているだけの教師や,叱ればいいとだけしか思っていない教師は,およびではない。
問題の多くは,教師と子どもとの関係性ができてない場所で発生するが,
教師にとって,暴力を体で受け止めた経験というのを無にしてはならない。
10月2日はガンジーの誕生日で,国際非暴力デーとされている。
暴力は許せないのだが,許されないのは暴力だけではない。無視も,心ない言葉も,心ない行為も,相手を傷つける深さでは,ときに暴力以上の威力があることを,教師は知っておくべきである。
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