夢をもてる人間をなくすための教育法
夢を叶えることは,難しいものである。
簡単に叶えられてしまうようなことは,「夢」ではなかった,ということになる。
大学教授になる,という「夢」を持つ子どもはいなくてもよいのだろうか。
「高い地位はなれる人が限られており,競争に勝たないといけないから,そんな夢は持ってはいけません」と説得する教育者がいたら,どう思うだろう。
「気がついたら大学教授になっていた」という人はいない。
「気がついたら富士山の山頂に立っていた」という人がいないように。
ほとんど身内しか読まない論文を大量生産して,やっと頂上まで上がれる人間はごく一部である。
ポストがあくまで,低所得で我慢し続けなければならない立場の人が大学にはたくさんいる。
ポストがあいても,自分が必ずそこに立てるとは限らない。
「全員の夢を叶える」という発想自体がおろかな例は他にいくらでもあるだろう。
「全員に夢を持たせる」ことはできる。
しかし,そういう発想自体を持っていない人がいる。
「全員を見捨てない」(実際には「オレの主張に賛同する人の子どもだけ」いう意味なのだが)という発想は,実際には「全員に夢を持たせないようにする」という意味となる。
「1番になる」という夢は持たせない。
「Aくんに勝つ」という夢も持たせない。
「ここで優勝する」という夢も持たせない。
競争=悪という思想を植え付ける。
いまでもイデオロギーの亡霊が大学にさまよっているのは,
ごく少数の「勝者」の側に立てた人間が,
最後に残された承認欲求を満たそうと躍起になっているからである。
共産主義の本場に行って,自分の教育法が通用するか,試してみてほしい。
「自分のクラスの生徒だけを見捨てない」という発想の人間には,考えつきもしないことだろう。
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