スクール・サポート・スタッフの投入で,労働時間は増加する
読売新聞が配信した「教員の長時間労働改善、事務作業に支援員配置へ」というニュースを読んで思ったことを率直に述べる。
実際に事務作業員が配置されたとして,どんな仕事を頼めるか?
私が頼みたい仕事は一つもなかった。
また,頼みたいが頼めない仕事があった。
事務作業員は大規模校に配置されるというが,たとえば30学級ある小学校に配置された人に,担任教師が配布物のプリントを頼んだら,どういうことになるのか。できあがりがいつになるかわからない状況が生まれるに違いない。もし事前に頼めるようなプリントは,どうしても個人でやりたくなかったら,学年や分掌組織の仕事として処理できるだろう。
パソコンの準備が必要な教員が同じ時間に重なったら,どちらかを優先せざるを得なくなる。
生徒の個人情報が含まれるデータの入力を,アルバイトの人に頼むのは気が引ける。データの入力ミスのチェックをする時間が必要になり,結局,労働時間が減るわけではない。
テストの採点の補助だが,中学校は想定されていないのか。1人でどれだけの教科の採点補助が可能だろう。
きっと現場の学校の管理職も参加して検討した制度だろうから,「意味はない」とは言わないが,どれだけ労働時間が短縮されるかというと,私は全く逆の効果を危惧する。(本来,効果は期待するものだが)
こういう人が入りました!
いろいろと頼めますよ!
じゃあ,配布するプリント(宿題の量)を増やしてみよう!
学年だよりの発行回数を増やしてみよう!
テストの記述式の問題を増やしてみよう!
アンケート調査の回数を増やしてみよう!
掲示物を新たに構想しよう!
・・・そう,せっかくいただいた人材を無駄にしないように,
仕事を増やすというのが,日本という国の学校現場の特色なのですよ!
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