「働き方改革」の前に必要な「学び方改革」
新聞には中立・公正原則はない。
表現の自由に基づき,独自の主張を展開できる。
だから,政権に近かろうが,政権批判を重視しようが,新聞社の自由である。
私たちは,歴史教育を受けることで,戦時中の政府と新聞社の関係,新聞が嘘の報道を続けていたことを知ることができる。
政権に近い新聞を読むメリットは何だろうか。
総理大臣の考えがわかりやすく説明されていることか。
政権しか知らない特ダネを早く,たくさん知ることができることか。
どのような「学び方」をすることが,私たちの人生を豊かにしてくれるのだろう。
学校現場で進めなければならないのは,「学び方改革」である。
今までに,成功したことがある「教育改革」はあるのだろうか。
東京都の場合は,受験倍率が少しだけ上がったり,東大合格者が増えたりすることを
「改革の成果」としてカウントしようとしているが,
「頭の良い子」をたくさん確保して,その子たちの成果がどう出ようが,「私には関係ない」という教師や子ども,学校が多ければ,やはり「教育改革」とは呼べないだろう。
「大コケ」の「教育改革」と言えば,「生きる力」(今日,たまたま発見したのだが,日中戦争が起こった1937年2月の東京朝日新聞の一面に,「生きる力」というキャッチフレーズが使われた雑誌の宣伝が載っていた)を育もうとした約20年前の改革である。
次なる「大コケ」の最有力候補は,「主体的・対話的で深い学び」をキャッチコピーとした次の学習指導要領だろうか。
「自分一人ではなく,何人かで力を合わせて何かをつくりあげる」という「学び方」がいつの間にか紛れ込んできて,「カンニングのすすめ」が教育現場に広がる恐れがある。
自分の頭ではなく,人が考えたことを写すだけで,わかったりふり,できたふりにする子どもが大量に発生する危険性がある。
「学び方改革」でこういう子どもが増えると,やがて,どのような「働き方」が目立つようになるか,想像するだけでも寒気がする。
「働き方改革」とは,だれの何のための改革なのか。
ある人が嘆いていた。
「働き方改革」についてのわけのわからない議論の時間がなければ,
もっといい仕事がたくさんできるのに・・・。
「話し合い」だけで何も得られない「学び方」を変えなければ,まともな「働き方」などできるわけがない。
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