人を散々苦しませておいて,「私には相談しないで」と訴える人
教師が一番苦しませたくないのは,子どもである。
残念ながら,一番苦しませたくないのは,自分だ,という教師も少なくない。
ある人が酔っ払って書いている文章を読んでみると,
大学時代のさまざまな授業の講義で知った本に書いてあることが,
なぜかたくさん思い出された。
教育が失敗する原因の大部分は教師にある。
いかに失敗させ,そこからどれだけ身になることを学ばせることができるかが勝負だが,
子どもや教師自身の自尊感情を傷つけて終わるだけというタイプの失敗を
平気で繰り返す人がいる。
30年前に学んだ心理学から言語学,社会学などとことごとく「つながっていく」のは,
私が気の毒に思える人が多いからだろう。
多くの教師が,混乱させられ,悩まされている。
そんな教師の問題を,1冊や2冊の本が解決できるわけがない。
具体的な解決策が書いてあるわけではなく,
「解決した気になる」ことが書いてあるだけだから,
本人に確かめたくなる。しかしそれでも問題は解決しない。
教育という仕事は,「人間関係」「対人関係」そのものだと考えてよい。
「本を読めばわかる」なんていう態度は,そもそも「人間関係」を築く教育自体を否定していることになる。
「本(教科書)を読めばわかる」なんていう態度だから,『学び合い』が成立することになってしまうのだ。
大学の研究論文が,同じ職業の人間か学位をとるための学生にしか読まれない理由を語るまでもないだろう。
「人間関係」の悪化自体が食べていくためのエサになる仕事があることを忘れてはならない。
「現実の」教育の世界では,自分の都合のよいことは表に出すが,
都合の悪いことは出しにくい。
なぜなら,現実に被害にあっている子どもを公開するわけにはいかないからである。
元大学教員の先生がお灸を据えてくれたのだが,
「酔っ払って大きなことを書いてすみません」といいながら,
ちゃっかり本の宣伝をしているところがこのセンセイらしいところである。
「私は苦しい思いをしている」と書けば,「思いやりのある人」は,
相談しにくくなるのである。「人間関係のことは相談しないで!」と訴えていることが伝わっていく。
この大学のセンセイが担任の先生だと,心優しい子どもは,本当に可哀想なことになる。
教師としてやってはいけないことを堂々とご開陳しながらの「最強」宣言なのだから,
ある意味では本当に「最強」である。
教育問題・教育論 ブログランキングへ
« 伝える技術に溺れるよりも,真摯な話しベタであれ | トップページ | 「良心」を守ったおかげで得られたもの »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「ニュースより」カテゴリの記事
- 止まらないビールの需要減(2018.12.30)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 愛校心によって大切なものを失った経験から(2018.12.16)
「学習指導要領」カテゴリの記事
- なぜ新しい学習指導要領が失敗に終わることがわかっているか(2018.01.17)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「教育改革」カテゴリの記事
- 改正教育基本法第16条の問題点(2018.12.28)
- 今,手を抜いていると,公教育の民営化が本格化したとき,・・・(2018.11.24)
- 国後島で考えたこと~日本の教育(2018.10.02)
- 都合の悪いことに目を向けさせなくする教育(2018.09.08)
「リーダーシップ」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- マリオが総理大臣ならピカチュウを防衛大臣,ハローキティを外務大臣に(2017.12.02)
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「ブログネタ」カテゴリの記事
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 「功を焦る子ども」に成長が阻害される「弱者たち」(2017.09.26)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「仕事術」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「道徳」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- チコちゃんに叱られる~おやじギャグが言える年齢になると,ホンネも漏れやすい(2018.11.11)
- 道徳教育が成立するための条件とは(2018.10.31)
「教員の評価」カテゴリの記事
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- ペーパーテストだけで「評価」ができる「教科」はない(2018.05.26)
- 子どもの人間関係に対する不感症の影響力(2018.03.28)
- 自分のダメさを完全に棚上げできる才能の伝授(2017.12.29)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「『学び合い』」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 人間の醜さを露呈させる教育方法(2018.01.15)
「レジリエンス」カテゴリの記事
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 総合評価2点台の宿の快適さ(2018.11.06)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「アクティブ・ラーニング」カテゴリの記事
- 現場感覚のない人が社会感覚のない人にアドバイスを送る教育の世界の不思議(2018.12.01)
- 苦しいときほど笑って「感情の錯覚」を生み出す(2018.09.15)
- 教科独自の見方・考え方の意味や意義がわかるためには(2018.09.15)
- 「知らない」ことが持っている大きなパワー(2018.09.09)
- 子どもたちに多大なストレスをかけている道徳(2018.06.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント