すでに「深い学び」への関心が高まっている
「主体的・協働的な学び」に関する実践や研究は,これまで数十年かけて積み上げられていました。
一方,「深い学び」の方は,そもそも英語で表現できる概念なのか?という疑問が湧くほど,欧米教育制度輸入専門学者には説明不可能なものになっており,現場では戸惑いがあります。
学習指導要領解説が公開されていますので,「改訂の基本方針」の
>③「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進
の項目を読んでもらえれば,「深い学び」を登場させている理由がわかります。
>深い学び(ここにはカギ括弧が必要でしょう。出版されるときは訂正されると思います。)の鍵として「見方・考え方」を働かせることが重要になること。各教科等の「見方・考え方」は,「どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのか」というその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方である。各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすものであり,教科等の学習と社会をつなぐものであることから,児童生徒が学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせることができるようにすることにこそ,教師の専門性が発揮されることが求められていること。
要は,「深い学び」はできない,としている学習の方法,考え方が生き残れない時代になった,ということです。
研修に見えたある先生から,「深い学びとはどんなものだと思われますか」と問われたときに,
文部科学省的には,上の内容ですよ,とお示ししたあと,
私の本心は,「そもそも深くなければ学びではない」「人間そのものが深い存在だ」という趣旨のことをお伝えいたしました。
10冊とか20冊程度の本を読んだだけで教育ができるのであれば,資格試験など必要ありません。
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