子どもは教師を選べないが,教師は子どもを選び直せる
学級経営や授業づくりに行き詰まって,自称・成功者たちが開く,3000円くらいが相場の有料のセミナーに参加したことがある教師は多いかもしれない。
小学生たちは,学校教育の求めるレベルに照らしてみると,基本的に優秀で,真面目で,向上心にあふれているから,教師が自分の方に問題があるのではないか,と疑ってかかる姿勢は非常に正しい。
教育の世界でいう「七五三」とは,小中高における子どもの平均的な学習到達度を指す。
私が知っているデータに基づいて言えば,中の「五割」は当たっているが,小においては「八割以上」を達成している学級も少なくない。その程度のレベルしか想定されていないのが今の小学校である。(だから学力上位層・・・最近は,公立の中高一貫校を目指す子どもが一定数いるために,裾野が広がり始めている・・・は競って進学塾に通い,中学受験を目指すわけである。)
中高に比べて,小学生に達成感を持たせることは容易いことである。
百マス計算をやらせるだけで,生き生きしてしまう子どもはいくらでもいた(今もやっているのだろうか?)。
そんな時間はもったいない,ということに気づき始めると,今度はアクティブ・ラーニングだ,と目先を変える。
何を試してみても,どうもしっくりこない。流行の先端ばかりを追い求めて,結局は単純に自分が勉強不足であり経験不足であって,同じ学校の教師たちから学ぶ姿勢がないばかりでなく,子どもを見ることすらできていなかった自分に気づく。
学校という建物の中で間借りをしているヨソモノに過ぎない自分から担任が交代するだけで,子どもたちががらっと変わる,学級崩壊がぴたっと止まる様子を目前にした教師たちは,とりあえず異動させてもらって,次なるチャンスに備える,という選択が可能である。
子どもは,教師を選べないが,教師は,子どもを選び直すことができる。
親と教師の違いがここにある。
教師たちは,いったいどれくらいの子どもたちを見捨ててきたのだろう。
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