学校現場という「甘えん坊」たちの巣窟
こんなタイトル,管理職ではない学校の一教員だから書けるものかもしれない。
学校の教員が,「締め切りに追われる」というのは,どういう場合か想像つくだろうか。
私は6つくらいの出版社の原稿を抱えて,死にそうになっていたころがあったが,そんな話ではない。
締め切りを過ぎるのが複数出てくると,本当に寝る時間がなくなる。
部活の指導をして,授業の準備をした後に原稿を書くと,もう次の日の授業が始まる,なんていう生活になる。
今でも夢に「締め切りに追われる自分」が出てくるのは困ったものである。
学校には,準備しなければならない様々な「計画」がある。
「道徳の年間計画・全体計画」「総合的な学習の・・・」「安全指導の・・・」などなど。
「各教科の評価規準と評価基準」なども。「計画」の一種である。
こういう「計画」は,年度当初か,教育課程届けを受理してもらうために,必要なものである。
これ以外にも,指導主事に任用されて,私は初めて「学校はこんなにたくさん調査書類を提出しているんだ」ということがわかった。
依頼文書の写しをつくり,教育長名で各学校長に依頼する。
中には,自分のところに届いた時点で,すでに締め切りがかなり迫ってしまっている調査もあった。
困るのは現場の教頭である。
郵送では間に合わないから,FAXで先に送っておき,準備しておいてもらう。
国→都道府県→区市町村→学校→区市町村→都道府県→国
というルートで依頼される調査の結果が上がっていく。
一カ所でも締め切りを守らないと,後に迷惑をかける。
こういうプレッシャーのかかる経験をすると,
締め切りを守らない人間は「悪魔」に見えてくる。
もちろん,すべての教員がこういう「調査もの」にかかわるとは限らない。
ただ,いつも「締め切り」など守ろうとしない人のところに,
よくその人を知らなかった管理職が書類をまわしてしまうと,大変なことになる。
「締め切りを守る」とかいうレベルではなく,
「書類を紛失する」というレベルも存在する。
「多分この辺に埋もれていると思うんですが・・・」
真っ青になっている管理職の顔が目に浮かぶ。
人によっては,書類をなくしておいて,
「忙しいのに,こんな仕事をふりやがって!」と逆ギレする。
そんな学校現場を見てきたが,子どもレベルの「甘えん坊」でも生きていける世界だったことを思うと,今では逆に微笑ましくもなる。
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