走っていると見えないものが,歩いてみると見えてくる
「走る教育」,「歩く教育」という2つの言葉を並べてみると,どのような対比が見えてくるだろうか。
一人の教師に目を向けてみると,私の場合は,40歳代までは「走る教師」だった。
今は,「歩く教師」になっている。
大きな怪我をして,あるいは,体重が重くなりすぎて,物理的に走れなくなったという意味も含んでいるが,「走れなくなった」というより「走らなくなった」と表現する方がよいかもしれない。
もちろん超短期で考えると,「走る」こともある。
ただ,かつてはいつも「走り続け」ていて,時々「猛ダッシュする」という感じだった。
今では,基本的に「歩き続けて」いる。
もしかしたら,生徒が「見える」ようになったことで「歩いている」ように感じているのかもしれないが・・・。
「一緒に走らない仲間」や「ついてこれない子ども」が増えていることが,「歩く」姿勢を重視させているという気もする。
とても単純に考えると,「歩く」ときは視野が広くなり,よそ見もしやすくなるが,「走る」ときは,視野が狭くなり,よそ見もしにくい状況で,急には止まれない,などいった欠点が多かった。
「歩く」と,「走る教師」もよく見えてくる。
それが危なっかしく見えるようになると,教師としては「晩年」を迎えるということだろうか。
行政にいたころは,基本的に「立ち止まっている」状態だった。
「立ち止まっている人」や「後ろ向きに走っている人」を見る機会も行政では多かった。
「見える」ということが,いかにつらいものであるかということもよくわかった。
もしかしたら,嫌なものを見ないですむために「走り続けた」のかもしれない。
それでも,行政に比べれば,学校現場は,いたって健全なところである。
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