論文作成と授業づくりの違い
論文には,基本的な構成がある。
結論がわからない状態で論文を書き始めることはまずないだろう。
授業案も同様に,この時間ではこのようなことを理解させたい,という「結論」がもとになって,導入や展開を考えるのが普通である。
導入・展開・まとめという授業の構成の中で,「まとめ」のイメージがあるから,導入の教材を工夫することができる。
ただ,学習で大切なことは何を考えると,論文を書くことよりも,研究の過程でどのような良質の試行錯誤ができたかが重要であることは言うまでもない。
研究のきっかけが何であったのか,実は論文を読むよりも,その話を聞いた方が,他人にとっては参考になることが多い。
ゴールをあらかじめ提示してしまう授業が,その教科が扱う事象の興味・関心を高めるかと言えば,決してそんなことはないのではないか。
さすがに公開授業では難しいかもしれないが,授業というのは多くの場合,「脱線」があるものだ。
この「脱線」こそが,たとえば研究活動ならば意外な大発見に結びつき,よい業績をもたらすものになることが多いのではないか。
教師が設定したゴールに向かってひたすら邁進させるタイプの一般的な授業が,多くの生徒にとって「つまらない」と感じられてしまうのも,生徒なりに「学習の本質」がわかっているからではないだろうか。
結論よりも,まずは「導入」を工夫してみる。そうすると,子どもたちは,(教師の)思いも寄らない方向へと思考を働かせてくれて,「主体的な学び」が成立する。そんな授業を心がけていたい。
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