小学校による子どもの違い
私は中学校の教師だが,小学生6年生を相手に授業をしたことが2度ほどある。
1つ目の小学校では,中学生より賢いのではないか,と思えるほど輝いていた。
テンポもよく,何より意欲が非常に高い。活動がとても活発で,無駄がない。
2つ目の小学校では,全く逆で,時間が非常に遅く流れていく感じだった。
テンポが合わない理由があとでよくわかった。
いつもすぐに発言するような子どもが,黙っていたのだ。
答えがわかっているのに黙るわけではなく,わからないから答えられないだけだった。
いつもと質問の難易度が異なる。
中学校の教師による授業だから,戸惑うのは当然かもしれない。
ただ,残念なのは,能力が高い子どもがわかっているのにもかかわらず,
発言をしなかったことである。
私は子どものノートを見ながら授業していたので,ある子どもが書き出していた優れた意見を紹介するなどした。
これは,教室ではタブーだったに違いない。
能力の高い子どもの答えを先に出してはならない,という暗黙のルールがあったからだろうか。
後者の学校は,全国から先生方が集まってくる小学校であり,
前者の学校は,一般的な公立小学校である。
教育は,学校によって,とても大きく異なっていてよい。
学級によって,暗黙のルールが異なることもあってよい。
ただ,「見世物」としての学習を続けていくと,結局のところ,学力はあまり向上しないことが証明されている。
子どもをそっくり入れ替えてみる,という実践をどこかでやってくれないだろうか。
授業は,教師の力によって大きく左右するものである,という仮説が証明されるだろう。
それはいけない,「ハズレ」に当たるのは困る,という声もあるだろうが。
深い思考に入れない子どもが増えている原因は何だろうか。
この主な原因は,深い思考に入れる子どもが増えていることにあるのかもしれない。
教育は,格差を拡大するために行われている,という言葉に心当たりがある人は多いのではないだろうか。
格差を拡大しないようにするための教育をすれば,どうなるか。
言うまでもないだろう。歴史は繰り返している。
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