現場での教育という仕事は,「攻撃」の対象になった時点でアウトです
教育現場ではない「遊び場」では,教育に関するどんな主張をしようが,自由です。
「遊び場」での自己主張や,一日だけ現場を借りて行う「お遊び」は,
たいした実害もないでしょうから。
しかし,実際の「修羅場」=教育現場は違います。
現場は,「攻撃」にはとても弱い場所です。
だから,多くの管理職は「守備」重視で,そういう能力が高い人のもとでないと,危なくて仕事もしていられません。
「指導力不足」を理由にした「攻撃」ほど扱いが難しいものはありません。
授業規律の意義を知らない小学校の先生が,中学校に異動してきて,たいへんな苦労をしていることを直接相談されたことがありました。
できることなら,早く小学校に戻してもらえるように,管理職にお願いした方がいいでしょう。
ただ,私の学校に研修に来られる先生は,将来の管理職候補でしょうから,こういう苦労をどう乗り越えるかが大事,という見方もできますが・・・。
地域によっては,東京都内ですら,小学生のような中学生がいる学校もあります。
小学7年生から8年生に上がり,最後の一年で中学生になって,高校に進学していくような学校も。
一方で,中学校に入ったときから気合いの入った「中学生」になっていく学校もある。
極度の人間不信集団がいて,授業規律が保てない学校で,やりがいのある教育をするのは難しい,というタイプの人は,教師をやめるか,小学校の方が向いているでしょう。
小学校でも,担任教師がある宗教の信者で,明らかにそれとわかる教育をしていたために,「攻撃」を受ける前に管理職が手を打ったこともありました。
多くの小学生には,「抵抗能力」はあっても,「批判能力」はありません。
だから,問題がばれないことも多いのですが,
ばれたとたんに「担任を変えろ」の大合唱が始まりますから,管理職は気が気でないのです。
公立学校には,「異動」という「最終兵器」があるので,結局,攻撃対象になる学校はローテーションする。
「不幸な管理職」にならないことを望む一方で,そんな仕事を引き受けたくない,という人も増えるのです。
教員の世界は狭いので,悪い噂は一瞬で広まります。
「昔はこうだった」と陰口を言われるくらいなら,管理職なんてならない方がいい。
小学校も中学校も,いずれ,管理職を外注する時代が来るのではないでしょうか。
「攻撃」への対応のプロの養成も求められる時代です。
« 昭和を生きた「厚かましき」人々 | トップページ | 火災調査官のお仕事 »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「ニュースより」カテゴリの記事
- 止まらないビールの需要減(2018.12.30)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 愛校心によって大切なものを失った経験から(2018.12.16)
「学習指導要領」カテゴリの記事
- なぜ新しい学習指導要領が失敗に終わることがわかっているか(2018.01.17)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「教育改革」カテゴリの記事
- 改正教育基本法第16条の問題点(2018.12.28)
- 今,手を抜いていると,公教育の民営化が本格化したとき,・・・(2018.11.24)
- 国後島で考えたこと~日本の教育(2018.10.02)
- 都合の悪いことに目を向けさせなくする教育(2018.09.08)
「リーダーシップ」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- マリオが総理大臣ならピカチュウを防衛大臣,ハローキティを外務大臣に(2017.12.02)
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「学習の評価」カテゴリの記事
- 創造性を奪うポートフォリオ評価(2018.06.05)
- ペーパーテストだけで「評価」ができる「教科」はない(2018.05.26)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
「ブログネタ」カテゴリの記事
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 「功を焦る子ども」に成長が阻害される「弱者たち」(2017.09.26)
「学力向上」カテゴリの記事
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
- 普遍性,汎用性があると誤解する「研究者」たち(2017.11.10)
- 小学校の授業を参考にする高校教師(2017.11.08)
- 最低限の教育の場の確保を!(2017.11.06)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「仕事術」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- 遠慮しないで情報を提供しろ!~いじめを見逃す環境との戦い(2018.12.29)
- 偶然の重なりと緻密な演出~インスタレーションから受けた刺激(2018.12.22)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 量より質が大事なものと,質より量が大事なものとは?(2018.04.23)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「小中連携」カテゴリの記事
- 中学校化している?小学校の授業(2018.10.15)
- なぜ学習指導要領が「小学校寄り」になるのか?(2018.10.13)
- 小学校英語教育の最大の欠点(2018.08.11)
- 中1ギャップを考える前提としての小中ギャップ(2018.05.28)
- 小学校に望む本当の「働き方改革」=小学校が変われば「中1ギャップ」解消に一歩近づく(2018.01.30)
「道徳」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- チコちゃんに叱られる~おやじギャグが言える年齢になると,ホンネも漏れやすい(2018.11.11)
- 道徳教育が成立するための条件とは(2018.10.31)
「教育実習」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「教員の評価」カテゴリの記事
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- ペーパーテストだけで「評価」ができる「教科」はない(2018.05.26)
- 子どもの人間関係に対する不感症の影響力(2018.03.28)
- 自分のダメさを完全に棚上げできる才能の伝授(2017.12.29)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「教員研修」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「生活指導」カテゴリの記事
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 1000人当たりの暴力行為発生件数ワースト5は(2018.10.29)
- 「成果」を出すための「時間」(2018.10.10)
- 子どもたちにとっての「迷惑行為」とは何か(2018.09.23)
「『学び合い』」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 人間の醜さを露呈させる教育方法(2018.01.15)
「レジリエンス」カテゴリの記事
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 総合評価2点台の宿の快適さ(2018.11.06)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「アクティブ・ラーニング」カテゴリの記事
- 現場感覚のない人が社会感覚のない人にアドバイスを送る教育の世界の不思議(2018.12.01)
- 苦しいときほど笑って「感情の錯覚」を生み出す(2018.09.15)
- 教科独自の見方・考え方の意味や意義がわかるためには(2018.09.15)
- 「知らない」ことが持っている大きなパワー(2018.09.09)
- 子どもたちに多大なストレスをかけている道徳(2018.06.02)
「公共空間と私共空間」カテゴリの記事
- 政治の世界で目立つ「ダメリーダー」の教育効果(2017.08.18)
- 「失敗から立ち直ったつもり」の誤解が最大の失敗(2017.08.13)
- 女性社会が男性社会に変わることが中1ギャップの最大の原因か?(2017.08.13)
- 男性中心になってしまう教育実践の落とし穴(2017.08.12)
「教員採用試験」カテゴリの記事
- ペーパーテストだけで「評価」ができる「教科」はない(2018.05.26)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
「リスクマネジメント」カテゴリの記事
- 【要警戒】 山形を襲っている「線状降水帯」(2018.08.05)
- 全国の「ブロック塀」問題(2018.06.22)
- 危機管理「術」の利用は「悪」のイメージを固定化する(2018.06.22)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
「指導主事」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
- 大学生に教師のコンピテンシーを育成できるか?(2017.11.14)
- 小学校の授業を参考にする高校教師(2017.11.08)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント