「仕事をさせていただいている」という感覚の消滅
社会には,「本職」とは別の「仕事」が忙しいものの,
しっかりと「本職」のつとめも果たしている人たちがたくさんいる。
学校でPTA活動に参加してくださる保護者がその例である。
一方で,「本職」がろくにつとめられないばかりでなく,
「本職」以外のことに全くタッチしようとしない人たちもいる。
学校関係者では例を挙げるまでもないだろう。
学校の教師が今まで果たしてきた役割が,
「間違っている」という人間がいるが,
現場にいる公務員の中で,自分の権利のことばかり考えて,
奉仕しなければならない対象のことをおろそかにできる人間はごく一部であると信じたい。
学校の教師が恵まれているのは,「本職」以外にしなければならない「仕事」も,
基本的にはすべて直接的に子どものためになることが多いことである。
社会一般の多くの人が果たしている「本職」以外の「仕事」が,必ずしもそういうものばかりであるとは限らない。
教師は,だれもが就ける職業ではない。
就くのが難しいというのは,採用試験の壁があるという理由だけではない。
私から見れば,ほとんど意味のない単位を大学で大量にとらなければ資格がとれない不幸なシステムができあがっているのが現状である。
苦労して現場に入った人間たちが,・・・「本職」にあたること以外にタッチしたくない・・・勤務時間が終わったら,さっさと帰りたい・・・などと言い出す元凶は,「本職」以外で金を稼いでいる人間がうようよいる大学にあると確信している。
ろくでもない将来像を若者に植え付けて,子どもたちだけでなく,若い教師がまともに成長できる芽も摘み取ろうとしている,「兼業万歳」の大学の人間をどうにかしてほしい。
公務員の中で,「仕事をさせていただいている」という感覚が欠如した教師が見せる態度ほど醜いものはない。
奉仕の精神を失った同僚と,自分と自分の子どもの権利ばかりを主張する保護者たちに囲まれる苦労を想像してみてもらいたい。
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