子どもを「利用する」ことを「理解する」と同意義で使っている「思い上がり教師」
子ども理解は,集団を操作するためにある,と堂々と主張している大学のセンセイがいるが,
子どもを「理解する」のは,子どもを「利用する」ためではない。
子どもを「守る」ためであり,子ども一人一人の「成長」を確かめるためでもある。
担任になれば,40人の子どもたちの家庭環境,友達関係,得意不得意,性格,健康状況など,教育にかかわる非情に多くの情報を手に入れることになる。
小学校であれば,自分のクラスを中心に知っていればよいのだが,中学校では授業を担当するすべての学級の子どもの情報を把握する必要がある。
小規模校ならば,すべての教師がすべての子どもの情報を共有することも可能だろう。
朝,教室で出席をとったときに,「何かヘンだな」と感じとることも,教師にとっては重要な仕事である。
授業のある先生に一言伝えるだけで,「余計な仕事」が増えないですむケースも多々ある。
学級集団は,一人一人の子どもから成り立っている。
Aはこういう子で,Bはこういう子,CはDが苦手で・・・といった情報だけでなく,
「今,どんな様子か」を知っておくことも大切である。
緊張しているのだろうから仕方がないと思うが,
公開授業を参観していると,子どもを見ていない教師が多いことが気になる。
子どもたちは,とても多くのサインを教師に向けて発しているが,
ことごとくスルーされている。だから,子どもも「諦めて」しまう。
子どもに「諦められる」教師ほどさみしいものはない。
「立場の逆点」を知らずに余計な軽口を叩いて子どもをさらに深く傷つけたり,
「昨日のできごと」に気づかないで「鈍さ」を痛感されてしまったり,
教師の「不手際」「能力不足」に気づくことは,子どもにとっては残念な話である。
集団の中での立ち位置が,常に固定であるわけがない。
一人一人の子どもは生きている。
集団の中にいても,一人一人の子どもは自己主張したくてうずうずしている。
集団を通してしか子どもに接することができない人間は,教師ではない。
常に集団を通してだけ子どもを動かそうとする人間は,実質的に子どもを「見捨て」ているダメ教師である。
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