テストの点数を高めるための「価値ある情報」とは?
「テストで点数がとれる勉強の方法を教えてほしい」と言われた場合,
学校として組織的な取り組みをしていると,
「担任によって指導が異なる」という批判を避けることができる。
私の学校では,テストの後に「誤答分析」をさせている。
テストの点数が比較的高い子どもの「誤答分析」で書かれている言葉は,
得点力を向上させるための情報の宝庫である。
「記憶があいまいだった」
「覚えていなかった」
というレベルの言葉では,
「もっとしっかり覚えよう」という自覚しかでてこない。
「授業の話に夢中になって,ノートにメモをするのを忘れた」
という言葉も,
「ノートをしっかりとろう」というアドバイスでは役に立たない。
たとえば,問題には,「ひっかけ」というジャンルに分類できるものがある。
西郷隆盛が出ているから,この絵は「薩長同盟に関係がある」といった反応は,
授業でするのはかまわないが,「よく見れば,向かい合っているのは勝海舟だ」
ということがわかれば,江戸無血開城という出来事に結びついている。
「~にひっかかった」という反省ができるレベルの子どもの言葉にふれていくことで,
「ひっかかりもしない」レベルの子どもの意識が変わっていく。
同じように×をもらった問題でも,
自分と他の人では質が異なっているかもしれない・・・・
つまり,テストは本当は1題4点で0点か4点かという結果の違いになるが,
実際には2点か3点分の知識がある人はいる。
まずは2点分の知識がなければ,4点にはたどりつけない・・・
こういう考え方が少しずつ勉強の方法を変えていくことを期待したい。
資料1と資料2からわかることを説明せよ,
という指示なのに,資料1から読みとったことしか書かない(書けない)場合,
資料2のここが結びつかなかった,ということに気づけることが,
正解に近づく第一歩である。
学校側としては,各教科で,「誤答分析」の「分析」を研究してもらえると,
「指導法」改善に結びつく情報がたくさん得られるだろう。
テスト結果を見ながら学び合っている生徒たちの様子が見られる研究授業をしてみたい。
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