【データから考える教育-7】 子どもの自立への不安
子どもが自立できるか不安である,と考えている親(子どもが小1~高3)はほぼ半数。
ベネッセ教育総合研究所が2015年7~8月に行った調査の結果である。
学年別で見ると,どこでも男子の保護者が女子の保護者を上回っている。
では,「自立できない」と考えている理由は何だろうか。
「整理整頓・片付け」が57%で最多。
「家庭学習の習慣」が39%。
「友達との関わり」が38%。
そのほか,「家庭の経済状況」,「学校の宿題」,「心の成長や性格」,「進路・学校選び」,「ゲームの仕方」などが不安要因としてあがっている。
(日本経済新聞2016年4月4日の記事より)
********************
子どもが将来,自立できるかどうか「不安」に思ってくれる保護者が多いのはありがたい。
「不安を感じない」保護者は,大きく2つのタイプに分けられると考えられる。
十分な教育をほどこしており,学校の成績もまずまずよいので,本当に不安を感じていない保護者。
本当は不安を感じてもらわないと困るのに,根拠のない楽観で余裕のある?保護者。
世の中には,不安をあおることが自分の収入源になる人たちがいる。
「人間の不安心理寄生虫」とでも呼ぶべき仕事がお金になるくらいだから,
将来も「仕事が皆無になる」心配はないだろう。
将来を生き抜く力をつけるために,アクティブ・ラーニングをどんどん推進させようというムードが高まっている。
教科書レベルの内容が理解できてお互いに満足しているような「協働性」では,格差は開くばかりである。
公立学校の現場の教師は,絶対にだまされてはいけない。
何が子どもたちによって最善の教育かを常に問い続けることができる教師でありたい。
教育はその場その場で常に現在進行形の取り組みである。
教育の成果が「死蔵」されてしまる理由もそこにある。
「変わり続ける力」と「守り続ける力」を両方合わせ持つ柔軟性がほしい。
« 【データから考える教育-6】 公立小中の環境教育 | トップページ | なぜ子どもは「理解した」つもりのことを次の日には忘れているのか? »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「ニュースより」カテゴリの記事
- 止まらないビールの需要減(2018.12.30)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 愛校心によって大切なものを失った経験から(2018.12.16)
「教育改革」カテゴリの記事
- 改正教育基本法第16条の問題点(2018.12.28)
- 今,手を抜いていると,公教育の民営化が本格化したとき,・・・(2018.11.24)
- 国後島で考えたこと~日本の教育(2018.10.02)
- 都合の悪いことに目を向けさせなくする教育(2018.09.08)
「リーダーシップ」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- マリオが総理大臣ならピカチュウを防衛大臣,ハローキティを外務大臣に(2017.12.02)
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「昭和の家庭史」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 9月22日 犠牲にするものが変化した(2017.09.21)
- 9月16日 子どもがテレビを見なくなった(2017.09.17)
- 長子・中間子・末っ子,一人っ子の特質(2017.01.22)
- 【データから考える教育-7】 子どもの自立への不安(2016.09.18)
「「ゆとり教育」」カテゴリの記事
- 「働き方改革」の前に必要な「学び方改革」(2017.07.01)
- 義務教育でアクティブ・ラーニングに取り組ませる目的(2017.05.21)
- 中学校の先生は,同時にいくつの仕事を進めているか(2017.05.01)
- 理解するよりも誤解する人が多い教育論(2017.03.13)
- 小学校による子どもの違い(2017.03.09)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「家政婦のミタ」カテゴリの記事
- 【データから考える教育-7】 子どもの自立への不安(2016.09.18)
- 続 家政婦のミタ に見る教師の適性(2011.12.24)
- 家政婦のミタ に見る教師の適性(2011.12.23)
- 家政婦のミタ 真似できない教育観(2011.12.23)
- 家政婦のミタ 学校現場で問われたら?(2011.12.22)
「教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- 遠慮しないで情報を提供しろ!~いじめを見逃す環境との戦い(2018.12.29)
- 偶然の重なりと緻密な演出~インスタレーションから受けた刺激(2018.12.22)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 量より質が大事なものと,質より量が大事なものとは?(2018.04.23)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「道徳」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- チコちゃんに叱られる~おやじギャグが言える年齢になると,ホンネも漏れやすい(2018.11.11)
- 道徳教育が成立するための条件とは(2018.10.31)
「教育実習」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「生活指導」カテゴリの記事
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 1000人当たりの暴力行為発生件数ワースト5は(2018.10.29)
- 「成果」を出すための「時間」(2018.10.10)
- 子どもたちにとっての「迷惑行為」とは何か(2018.09.23)
「リスクマネジメント」カテゴリの記事
- 【要警戒】 山形を襲っている「線状降水帯」(2018.08.05)
- 全国の「ブロック塀」問題(2018.06.22)
- 危機管理「術」の利用は「悪」のイメージを固定化する(2018.06.22)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
この記事へのコメントは終了しました。
« 【データから考える教育-6】 公立小中の環境教育 | トップページ | なぜ子どもは「理解した」つもりのことを次の日には忘れているのか? »
コメント