「どうせ,わからない人は多いだろうな」という話法
何かを「わからない」=「理解できない」人に対して,「わかる」=「理解できる」状態に変化させるのが,教師の仕事の一つであるはず。
しかし,「それは教師自身がする仕事ではない」というスタンスになると,
「わからない人」に教えてあげよう,という意欲もなくなるようである。
どうしてこの人たち(小学校の教師)は「いじめ」があることに気づけなかったのか,といつも思い知らされるのが,
中学校の教師たちである。
何人もの子どもたち,親たちから,さまざまな訴えが届く。
小学校何年生のときに,こんなことがありました。こんなひどいことをされました。
影で~は~にこんなことをしていました。~とは絶対に同じクラスになりたくなかった。
子どもの中学校進学にあたって,多くの学校では,小学校での人間関係を聞き取る「連絡会」を開いているはずである。
そうした情報をもとにして,クラス編成を行う。
しかし,「これだけは絶対に欠かせない情報だ」と思われるような内容が,必ずしもきちんと引き継がれない。
「いじめ」は担任のせいで起こるのだ,というのが小学校での常識なのか?
だから,多くの小学校の教師は,「いじめ」があったのを隠そうとするのか?
子どもが担任に「いじめ」を隠す理由は,「担任に言うと,よけいなことをして,状況がさらに悪化するから」「どうせいじめはなくならないから」というのが主なものだが,せめて親と担任のコミュニケーションがとれていれば,情報だけは入るはずである。
お互いに,「一人も見捨てない」ことに建前上なっているクラスなので,「いじめ」がある=「一人も見捨てない」ことが実現されていない事実を隠さなければならないという事情もあるだろう。
「いじめ」が顕在化しない理由には,さまざまなものがあるのだ。
自分自身が「わかろうとする努力」を怠るような人間は,もはや教師ではない。
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