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ルーティンの動きは集中力を高める

 プロ野球選手の中に,打撃の前に独特の決まった動きを繰り返す選手がいる。
  
 モノ真似でだれかがわかりやすいから,今ならイチロー,昔は阪神の掛布選手の動きをみんな知っていた。

 あの動きの目的は,「焦点を合わせるため」「気分を落ち着かせるため」「集中力を高めるため」などと思っていたが,

 実は,たとえばバットのグリップの感触に集中することだけでも効果があることを知った。

 すぐ目の前のバットをじっくり見ようとするだけで,たとえば「ヘッドを下げないように」とか,「もし変化球がきたら・・」など未来の余計な予測をしなくてすむ。

 「苦手なピッチャーだな」「あの試合も打てなかったな」という過去の雑念も抱かずにすむ。

 今,自分が持っているバットの感触,質感,重さに注意を向けることで,「来たボールをただ打っただけ」という感触で弾き返せた,というようなことは,教育の場面ではできないだろうか。

 ふりかえると,案外,無意識にやっていたこと,行われていることがたくさんあることに気づく。

 子どもが落ち着いて授業に参加し,集中して課題をこなしていく,その最初にあるものは,

 「号令,挨拶」だけではない。

 
 「マインドフルネス」という言葉が日本で使われるようになるずっと前から,
 
 私たちはマインドフルネスの実践をしてきた。

 読書編で,「脳の休め方」に関する本を紹介するが,日本人はあまりこういう「脳疲労」をもたずに生きてきた国民だったはずだと感じた。

 いずれ輸入学問で「脳疲労」という言葉がはやり,そういう感覚をもつ人が出てきてしまうのだろうが・・・。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より