【データから考える教育-2】 小学校英語
小学校5年生,6年生の72%が,英語の授業や活動を他教科に比べて面白いと感じている。
(ベネッセ教育総合研究所,2015年3月,4択で「とてもあてはまる」「まあまああてはまる」の合計)
8割以上の子どもが,「英語がわかったり通じたりするとうれしい」と答えている。
「授業を増やしてほしい」子どもは59%。
「他教科と比べて簡単に感じる」子どもは半数以下。
(日本経済新聞2015年11月30日の記事より)
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授業の感想を聞く方法として,
「面白い」か「面白くない」か
「一生懸命に取り組んでいる」か「一生懸命には取り組んでいない」か
「簡単」か「難しい」かといった項目はよく耳にするが,
英語の場合,ここに
「教室の外でも使ってみたいか」
「外国の人と接することに慣れたか」
といった要素が入ってくる。
そもそも「教科」の「学習」として英語を学ぶべきかどうかも議論してほしかった。
「英語を話す人とのコミュニケーションをとる」という目的で学ぶのだとしたら,
実際のコミュケーション場面がないと意味がない。
紙の教科書より,生身の人間の方が重要である。
多額の予算が必要となるALTではなく,「英語を使って生活している人」と学校との結びつきを考えた方がよい。
私は2校目の赴任校で,こんな「人集め」を行った。「国際理解」と「まちづくり」をテーマにした総合的な学習の発表会に,地域の外国人の方をたくさん招いて調査結果を発表し,ディスカッションも行うという企画だった。
「大量動員」できた秘訣は,地域で開催されている「日本語を学ぶ会」に顔を出し,企画の説明をして理解を得たことにある。
ここでの課題は,英語よりもスペイン語や中国語を母語とする人が多かったことだが,「言葉」を学ぶことの意義を中学生たちに実感させることができたと思っている。
「英語関連産業」の消費者としての日本人をつくるのはそう難しいことではないだろうが,
「英語を使ってコミュニケーションをとり,問題を解決する」という意識を育てることは,容易ではない。
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