「よき市民を育成する」「よき主権者を育成する」という発想の誤り
よき市民・・・たとえば「選挙に出かける」・・・であることからの退却(投票率の低下など)が,
民主主義の危機の原因であるのではなく,
むしろ民主主義の危機がもたらした結果である・・・・・。
こういう解釈ができることは,現実の「政治」の問題を見れば,簡単に理解できることである。
市民は,民主主義から自ら退却するのではなく,
「押し出される」ようにして離れている・・・・
その「押し出す」力とは,具体的にどのようなものか?
>よりよき民主主義を得るためによりよき市民が必要である,などと提案するのではなく,むしろ,よりよき市民となるためにはよりよき民主主義を必要とする,と提案したい。(ガート・ビースタの翻訳本『民主主義を学習する』(勁草書房)より)
シティズンシップ教育や道徳教育のあり方が,民主主義から将来の市民たちを「押し出す」ものになってしまわないように,訳者のみなさんには「よき市民」としての役割を果たしていただきたいです。
« 「言語活動の充実」を改訂の柱にした現行学習指導要領の実施状況のどこがどのようにダメだったのかを明らかにしなければ,次期学習指導要領でも同じ結果しか待っていない | トップページ | 「経験と勘」から「科学とテクノロジー」へ ~農業VS教育~ »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「書評」カテゴリの記事
- 「7つの大罪」によってモノが溜り「4つの基本道徳」によって整理ができる(2018.05.13)
- 「一呼吸おく」ことの大切さ(2018.04.27)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- かえってくるブーメランが見えない人たち(2017.11.11)
- リーダーシップの意味がわからない人たちに翻弄されるだけの校長たち(2017.09.18)
「教育改革」カテゴリの記事
- 改正教育基本法第16条の問題点(2018.12.28)
- 今,手を抜いていると,公教育の民営化が本格化したとき,・・・(2018.11.24)
- 国後島で考えたこと~日本の教育(2018.10.02)
- 都合の悪いことに目を向けさせなくする教育(2018.09.08)
「社会科」カテゴリの記事
- 止まらないビールの需要減(2018.12.30)
- 皇族への言論弾圧(2018.11.30)
- ありえない課題設定・・・EUが1つの国?(2018.11.24)
- 1000人当たりの暴力行為発生件数ワースト5は(2018.10.29)
- 創造性を奪うポートフォリオ評価(2018.06.05)
「社会科教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- ありえない課題設定・・・EUが1つの国?(2018.11.24)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- アメリカの反知性主義を輸入した人たち(2017.06.28)
- 選挙が違憲だと,国民審査が機能しなくなる?(2017.06.01)
- 「アカデミアの世界」からこのブログへ投げかけられた言葉とは?(2017.05.29)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「仕事術」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- 遠慮しないで情報を提供しろ!~いじめを見逃す環境との戦い(2018.12.29)
- 偶然の重なりと緻密な演出~インスタレーションから受けた刺激(2018.12.22)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 量より質が大事なものと,質より量が大事なものとは?(2018.04.23)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「道徳」カテゴリの記事
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 五輪ボランティアの数字を見て(2018.12.27)
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- チコちゃんに叱られる~おやじギャグが言える年齢になると,ホンネも漏れやすい(2018.11.11)
- 道徳教育が成立するための条件とは(2018.10.31)
「教育実習」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「教員研修」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「生活指導」カテゴリの記事
- 南青山に似た環境の公立学校は,頑張った。(2018.12.23)
- 1000人当たりの暴力行為発生件数ワースト5は(2018.10.29)
- 「成果」を出すための「時間」(2018.10.10)
- 子どもたちにとっての「迷惑行為」とは何か(2018.09.23)
「アクティブ・ラーニング」カテゴリの記事
- 現場感覚のない人が社会感覚のない人にアドバイスを送る教育の世界の不思議(2018.12.01)
- 苦しいときほど笑って「感情の錯覚」を生み出す(2018.09.15)
- 教科独自の見方・考え方の意味や意義がわかるためには(2018.09.15)
- 「知らない」ことが持っている大きなパワー(2018.09.09)
- 子どもたちに多大なストレスをかけている道徳(2018.06.02)
「公共空間と私共空間」カテゴリの記事
- 政治の世界で目立つ「ダメリーダー」の教育効果(2017.08.18)
- 「失敗から立ち直ったつもり」の誤解が最大の失敗(2017.08.13)
- 女性社会が男性社会に変わることが中1ギャップの最大の原因か?(2017.08.13)
- 男性中心になってしまう教育実践の落とし穴(2017.08.12)
この記事へのコメントは終了しました。
« 「言語活動の充実」を改訂の柱にした現行学習指導要領の実施状況のどこがどのようにダメだったのかを明らかにしなければ,次期学習指導要領でも同じ結果しか待っていない | トップページ | 「経験と勘」から「科学とテクノロジー」へ ~農業VS教育~ »
コメント