自分にとって都合のよい情報だけを提供する人たち
人は,自分が見たいと思うだけを見ようとする傾向がある。
人は,自分が見たいと思わないものを,見ようとしない傾向がある。
やってはいけないことは,これを人に強いることである。
「こうすれば,うまくいきますよ」という宣伝をしたい人は,
「うまくいく理由」「うまくいった事例」「うまくいったように見えるデータ」ばかりを集めて宣伝してくる。
「成功」例にむらがって同じことをしようとする人たちが大失敗を犯す原因がここにある。
新しいことにチャレンジして成功する人と失敗する人の違いはここにあると考えられる。
教育の世界では,そもそも簡単に「成功」は得られないし,
「成功」したように見える「学校での今」が,子どもの将来にとって本当に役立っていくとは限らない。
「未来の成功保証」など,だれにもできない。
一人一人の子どもにしっかりと向き合って,現在の条件の範囲で,教師はできる限りのことをするのみである。
「一人で全員を見ること,全部をすることをするのは無理だ」というのは当たり前である。
しかし,100%が無理だから,0%でいいという,ONかOFFかしかない発想の人に,教師はつとまらない。
ある子どもへの教師の影響度が80で,別の子どもは20かもしれない。
影響を受けやすい子ども,そうでない子ども,
影響を受けたがる子ども,そうでない子ども,さまざまである。
子どもたちは同級生たちからも,さまざまな影響を受けて生きている。
しかし,高校より中学校,中学校より小学校の方が,
教師の影響力は大きくなる。教科担任制ではない小学校について理由を説明する必要はないだろう。
小学校段階で,大人に対する信頼感をもてずに育った子どもがどれほどの不幸を背負うことになるのか,想像できる人はいるだろうか。
失敗のリスクが非常に大きい教育の「理論」なり「方法」の実践が,教育現場にもたらす影響が次第に大きくなっていくことが懸念される。
資質・能力の三本の柱のどれが欠けても人間は自力で立てない。
「科学技術がどれかを補う」という幻想を,人間の資質・能力の世界に容易にあてはめようとするのは要注意人物だ。
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