失敗したときの反応を見たい面接官
教員研修の中には,理不尽な要求をする保護者への(電話)対応の練習をする場面がある。
練習だとわかっているし,他の教師たちも見ているので,ここで「その対応はないんじゃないの」というミスを犯す教師はあまりいない。ただ,保護者の立場で対応を観察していると,「この対応じゃやっぱり頼りない先生だと思われてしまうな」とわかってしまうことはある。
大切なのは,「本番」である。
オリンピックの試合では,「ミスをしたときの表情」も繰り返しリプレイされてしまう。
その表情に好感をもたれる選手もいれば,「この人にメダルはふさわしくないな」と反感を買われてしまう選手もいる。
教員採用試験でも,同じような場面があるだろう。
採用する側は,できれば「失敗したときの表情や反応」を見たがっている。
「仮面がはがれて,素になる瞬間」を見逃すまいと,真剣である。
採用する人たちの中には,採用後にさまざまな問題が発覚してしまう教師をたくさん見ているから,
「採用したときにはこんなはずではなかった」と思っている。
では,なぜ「こんなはずではなかった」という気になるのか。
「採用時に見破れなかった」という後悔である。
ある女子アナ選考の現場で内定をとった就活生の特徴が紹介されている記事があった。
内定をとれた人は,特別な才能がなくても,緊張した状態で自然な自分を出せたことが評価されたという。
「失敗したときの表情が良かった」というのが内定のカギだったという。
面接試験での「失敗」は,本当は「減点対象」「命とり」のはずである。
しかし,「失敗」場面でこそ,本当の「資質・能力」が発揮できる,というケースもある。
女子アナと同様,教員にも一定の緊張場面への耐性が必要である。
「口で何とか誤魔化そう」とする人を排除できる面接であってほしい。
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