ロボットが身近な存在になるまで
ロボットが本当の意味で「身近な存在」になるまでの道のりは,まだまだ果てしなく遠いものに思われる。
私は鉄腕アトムに夢中になった世代よりも下だが,若いロボット研究者たちにとって,
鉄腕アトムは「めざすべき到達点」のいくつかを示しているという点で,とても貴重な存在であるようだ。
人気のために大衆迎合型・勧善懲悪タイプの単純なヒーローとしての活躍をするようになったアトムを,
手塚治虫自身は「作品史上最大の駄作」と見なしていたようだが,影響力の大きさは計り知れない。
ロボットに人間が託している本当の夢とは何だろう?
人間より人間らしい人間を求めているのではないか?
ロボットに夢中になりすぎて,人との接点をなくした生活も,
「人間らしい生活」の1つのパターンだと思えば,地球は「人間らしさ」にあふれている。
未来も「人間らしさ」は失われないだろう。
ただ,いずれ,ロボットから「顔の表情」や「言葉のニュアンス」を教えられる時代になっていくのかと考えると,そもそも「人間とは何か」という問いも失われていってしまいそうだ。
ディープラーニングのレベルも,まだまだ人間で言えば5歳程度のことしかできないらしい。
「よくぞ5歳レベルまで到達したものだ」と賞賛されるべきところだろうが,
いわゆる「基礎研究」にかかる時間・費用・根気は想像を絶するほどのものだろう。
理系にはケタが違う予算がついている一方,
学校教育には大改革にふみきるほどのほとんど予算がつかない。
それでも学校教育が沈まないですむようにするためには,
現場のソフトパワーで乗り切るしかないのだろう。
「ロボット先生」で教育が事足りるようになる日は遠い遠い先の話であってほしい。
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