教育管理職に向いている人
読書編で紹介した横山秀夫著『64(ロクヨン)』の中で,警察の広報の仕事が紹介されている箇所がある。
実際の広報の現場がどうなっているか,フィクションをそのまま真に受けることはできないが,
私の仕事である教育の現場には,描写されている警察組織の内容に近いものがあるので記しておきたい。
>世間に向けて「広報広聴係」を標榜していながら,「広報」は専ら記者の刺々しい言葉に分別顔で頷くことであり,世論の代弁者を気取る彼らに日々ガス抜きの場を提供し続けていた。俺たちは消波ブロックだ。当時の広報官はそう自嘲した。マスコミの機嫌を取り,なあなあの関係を築き,警察批判の矛先を鈍らすことが仕事のすべてだと言わんばかりだった。
教育委員会には,さまざまなクレームが寄せられる。
中には,相手の「ガス抜き」だけを任務?として話を聴き(流し)続けなければならないこともある。
学校現場では,教頭(副校長)が,保護者たちの「ガス抜き」の相手となる。
消波ブロックの役目を果たせない教育委員会や管理職が,個人としての教員を追いつめることもあった。
消波ブロック,防波堤の役割を果たせない人は,教育管理職には向いていない。
よくよく考えてみると,その資質能力は一般の教員自身にも求められるものである。
攻撃的で興奮して話す相手との会話に耐えられない人は,教員に向いていない。
現場でつぶれる人を間近で見た経験はないが,
学校や警察といった「閉鎖的」に見られる場所,プライバシーの保護を優先しなければならない場所には,悩みが尽きないものである。
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