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「日本の教育界ではビースタがブーム」という乖離度

 ガート・ビースタという教育学者を知っている「日本の教育界」の人はどのくらいいるのだろうか。

 学者の世界の「翻訳文化」は明治以来,変わっていない。

 大切なのは,「日本で紹介する価値のある学術書」を選別する眼力なのだろうが,

 ビースタという教育学者に関しては,中央に関与していない人たちにとっては「当たり」なのだろう。

 逆に言うと,

>政府とは選挙という多数決原理の結果であり,典型的な集約的モデルである。だから政府による教育内容の決定は,何が最善かを議論した結果ではなく,特定の利益を代表している。このような特定主義的な決定を超えて,多様な教育要求に基づきながら熟議を生みだし,教育内容を民主主義的に決定していくことが民主的教育の課題である

 と主張している学者は,政府から見れば注目されない方が望ましい。

 『よい教育とは何か』(白澤社)というタイトルは,原著を直訳すれば『測定時代のよい教育』となる。

 エビデンスを示すための『測定』結果が,教育の世界ではどれだけ一面的であるかは,はるか昔から日本では承認され続けてきたことだった。
 
 それを世界ではわざわざ批判的に扱わざるを得ないほど,『測定時代』に突入しているわけである。

 その『測定世界』に日本が入ろうとしている。

 中央の人が喜ぶような本は,翻訳が非常に読みにくい。

 本当に心から賛同している人が訳す本は読みやすい。

 専門書ではあるが,短時間に読めて内容が理解できたのは,訳者のおかげである。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より