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無形の価値を尊重しない社会に未来はない

 イギリスの過半数の人々がとった選択肢には,どのような意味があるのだろう。

 フランシス・ベーコン(イギリスの哲学者)の「知識は力なり」に込められた意味を,今,噛みしめるべきときであると考える。

 演繹的思考が大好きな人がいるのは,「頭が良さそうに見える」から仕方がないと言える。

 しかし,自ら演繹的思考ができないのに,「頭が良さそうに見える」人の口車に乗ってしまう国民が多くなればなるほど,国全体としては破滅の道をたどることになるだろう。

 帰納法を提唱したベーコンの基本的な姿勢に敬意を払いたい。

 ベーコンは英語の将来を疑問視していたが,今こそ,その危機が目前に現われようとしている時代ではないだろうか。

 ラテン語を学び始める人が「グローバル人材」として即戦力になるはずはない。

 しかし,「知恵」の手前にある「知識」すら,軽視される時代であり,

 教育界にとって,最大の危機が訪れている。

 イギリス人の選択が正しかったのかどうか。

 5年後,10年後,50年後で,評価は変わるかもしれない。

 それでも,「50年後」が迎えられそうな国であることは,何となくわかる。

 目先の利益や数値目標にあくせくしている日本とは,大違いである。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より