教師の言いなりになる集団がよりよく成長できる集団とは限らない
教師の言うことをよく聞いてくれる子ども集団と,反発の方が強くて「扱いにくい」集団がある。
教師が書いている本のタイトルだけを拾い読みしてみると,
「子どもを思い通りに動かす」コツをまとめているような本まである。
小学校で教師のコントロール下におさまっていた集団が,中学校でも同じように通用するかといえば,
全く逆の姿に「成長」してくれる場合の方が多いかもしれない。
子どもたちは,相当の「無理」を強いられていたことが伝わってくる。
教師生活も20年を過ぎるあたりから,
「子どもは大人に反発してこそ成長できる」という実感が強くなっていく。
他の教師の動きを冷静に見ていれば,
「自分が子どもだったら,ここでは絶対に反発するな」という場面に出くわせるだろう。
授業参観をすれば,「こんな授業は寝ていたい」と思うかもしれない。
落ち着いた状態に見える場合でも,子どもが「気を利かせて」,けっこうな「無理」をしていることがだんだんとわかってくる。
そうやってたまったストレスや不満のはけ口が,「より弱い立場の者」に向かうのが「いじめ」である。
考えてみたら,子どもが一致団結して教師に反発してくれていれば,教室内に「いじめ」は起きない。
教師に対する「いじめ」はあるかもしれないが。
子どもに嫌われることを気にせずに,ときには衝突してあげることができる胆力は大事である。
教育の失敗に見えるものが,実は子どもの成長を支える糧になっている=教育の成功に結びついているケースは多いかもしれない。
中学校2年生なら,荒れているくらいがちょうどいい,なんて,本当に苦労されている先生方には言いにくいことだが,「荒れた後」の姿に大きな変化を見てきた身としては,ぜひ荒波にもまれつつ,転覆せずに航海を続けてくれることを願いたい。
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