原稿を見ずに発表することを義務にする
アクティブ・ラーニングの授業だと聞いて言ってみたら,
子どもたちは手元の原稿を丸ごと棒読みしているだけで,
他の子どもたちは自分の原稿を見ながら読む練習をしていた,
という悲惨なものだった。
お金を出して参観しに来た立場から言うと,詐欺にあったようなものである。
孤独な生徒たちの朗読の時間に付き合わされるのに,なぜお金を払う必要があるのか。
先日,ある発表会に参加して,子どもたちのアンケートを読んで気づいたのだが,
私の学校の生徒だけが原稿を見ずに発表していた,というコメントがあった。
他にもそういう学校があったが,それは「暗記していたことを読んだ」もので,
「発表とはいえない」という認識だったのかもしれない。
日本でも中国でも,大きな大会では教員だけでなく,首相も原稿を一字一句間違えずに読むことが求められる。
「原稿を配布して終わりでいいのでは」とだれでも思うことだが,「式典の挨拶」のような感覚でとらえればよいのだろうか。
ただ,式典の挨拶と,学習発表の場面では,性質が異なる。
原稿を読んでいるだけでは,本当にわかっていることを話しているのかどうか,わからない。
教育実習生の授業が,これと同じような状況になることもある。
内容がわかっていない人が話す内容は,内容を知らない人が聞くとよくわからない,ということが多い。
それに不規則的な質問や発言に対応できない。
卒論の口頭試問のようなかたちが最も厳しく力がつく言語活動と言えるのかもしれない。
次回は,「原稿を見ながら読むことを禁止する」というルールをつくってみようかと考えてみたが,
参加校が減ったら困るのでやめておこう。
« 塾に情報を提供することで,学校と塾が共栄するシステム | トップページ | Minecraftでの建築技術対戦 »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
「教育改革」カテゴリの記事
- 改正教育基本法第16条の問題点(2018.12.28)
- 今,手を抜いていると,公教育の民営化が本格化したとき,・・・(2018.11.24)
- 国後島で考えたこと~日本の教育(2018.10.02)
- 都合の悪いことに目を向けさせなくする教育(2018.09.08)
「リーダーシップ」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- マリオが総理大臣ならピカチュウを防衛大臣,ハローキティを外務大臣に(2017.12.02)
- 「大人になったら教師はいなくなる」は大間違い(2017.11.27)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
「社会科」カテゴリの記事
- 止まらないビールの需要減(2018.12.30)
- 皇族への言論弾圧(2018.11.30)
- ありえない課題設定・・・EUが1つの国?(2018.11.24)
- 1000人当たりの暴力行為発生件数ワースト5は(2018.10.29)
- 創造性を奪うポートフォリオ評価(2018.06.05)
「学習の評価」カテゴリの記事
- 創造性を奪うポートフォリオ評価(2018.06.05)
- ペーパーテストだけで「評価」ができる「教科」はない(2018.05.26)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
「学力向上」カテゴリの記事
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
- 普遍性,汎用性があると誤解する「研究者」たち(2017.11.10)
- 小学校の授業を参考にする高校教師(2017.11.08)
- 最低限の教育の場の確保を!(2017.11.06)
「教職教育」カテゴリの記事
- 「総合的な学習の時間」の指導ができるように教育できるのはだれか(2019.11.24)
- 生徒との対話の中から自然に目標達成へのルートをつくる(2018.12.26)
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
「仕事術」カテゴリの記事
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 歴史用語半減による「ゆとり」が生むもの(2017.11.19)
- 教師の成長力を奪う力(2017.11.19)
- 成長をとめないために(2017.11.18)
「教師の逆コンピテンシー」カテゴリの記事
- 遠慮しないで情報を提供しろ!~いじめを見逃す環境との戦い(2018.12.29)
- 偶然の重なりと緻密な演出~インスタレーションから受けた刺激(2018.12.22)
- 子どもから有能感を奪い取る方法(2018.11.25)
- 量より質が大事なものと,質より量が大事なものとは?(2018.04.23)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「小中連携」カテゴリの記事
- 中学校化している?小学校の授業(2018.10.15)
- なぜ学習指導要領が「小学校寄り」になるのか?(2018.10.13)
- 小学校英語教育の最大の欠点(2018.08.11)
- 中1ギャップを考える前提としての小中ギャップ(2018.05.28)
- 小学校に望む本当の「働き方改革」=小学校が変われば「中1ギャップ」解消に一歩近づく(2018.01.30)
「教育実習」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「教員の評価」カテゴリの記事
- 私でなくてもいい,私ではない方がいい(2018.12.14)
- ペーパーテストだけで「評価」ができる「教科」はない(2018.05.26)
- 子どもの人間関係に対する不感症の影響力(2018.03.28)
- 自分のダメさを完全に棚上げできる才能の伝授(2017.12.29)
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
「教員研修」カテゴリの記事
- 現実的な教育内容や教育方法の議論がなぜ小学校や高校では役に立たないか(2017.12.29)
- 日本の教育に欠けている「適時的で適正な評価」の発想(2017.12.25)
- 鉄道トラブルと学校教育の劣化の共通点(2017.12.23)
- ネガティブ・ケイパビリティ~解決困難な問題に正対し続けられる資質能力(2017.12.04)
「グローバル人材」カテゴリの記事
- 孤立・自壊する可能性に気づいた?中国との関係づくり(2018.10.26)
- 大坂なおみ選手のインタビューへの非難・抗議(2018.09.14)
- マリオが総理大臣ならピカチュウを防衛大臣,ハローキティを外務大臣に(2017.12.02)
- 準備体操なしで全力疾走させるような授業はアウト(2017.11.26)
- 11月20日 少子化が進む日本だが,日本には1600万人もの子どもがいる!(2017.11.20)
「アクティブ・ラーニング」カテゴリの記事
- 現場感覚のない人が社会感覚のない人にアドバイスを送る教育の世界の不思議(2018.12.01)
- 苦しいときほど笑って「感情の錯覚」を生み出す(2018.09.15)
- 教科独自の見方・考え方の意味や意義がわかるためには(2018.09.15)
- 「知らない」ことが持っている大きなパワー(2018.09.09)
- 子どもたちに多大なストレスをかけている道徳(2018.06.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント