他人を平気で嘘つき呼ばわりできる人
ある生徒が,「小学校ではみんな平気で嘘をついていた」と言いました。
理由を問うと,「先生はみんなを信じてくれていたから」だそうです。
教師は子どもを信じていてくれる存在なのだから,堂々と嘘をついて,自分の悪事を認めなければよい。
「心の教育」「道徳」の悪用パターンです。
「人は人を信ずるべきだ」・・・・「あっそう,じゃ,いくらでも嘘がつけるね」・・・・
子どもたちは「人から信用されること,信頼されることの大切さ」を学ぶことなく,少なくとも6年間の学校生活を送ってしまったということです。
小学生たちは,教師による「心にもない嘘」もよく見抜いています。
たいしたことないことですぐ褒める教師を見ながら。
「本心じゃない」というのがばれている。だから,褒められてもうれしくない。
一度「嘘をついていたこと」「平気で嘘がつけること」「嘘をつくことが当然であること」がばれてしまった以上は,教師は子どもを,子どもは教師を信用することはできない・・・・というわけにもいきません。
生活指導場面の経験を重ねると,中学生はどういうときに,どういう風な嘘をつくかがわかってきます。
嘘の証拠がつかめる(他の人には違うことを言っていたなど)場合もあれば,つかめない場合もある。
「いつかは嘘をつかないで自分に正直になれる日が来る」ことを信じて,指導を続けていくわけです。
こういう指導を重ねた教師なら,他人を平気で嘘つき呼ばわりできる人間は教師に向かないことがわかります。
もし何かが嘘というのであれば,その証拠を示さないといけません。
真実が何かを示す必要があるのです。
でもそれは,非常に難しいことでもあります。
証拠を示さずに,「嘘だ」「嘘だ」と言っても何も始まりません。
そういえば,裁判所の悪口も書いていた人がいました。
司法を嘘つき呼ばわりするような経緯を想像するのはそれほど難しいわけではありませんが,
それも単なる想像です。
人を嘘つきだと糾弾できる人間の脳内物質・・・アドレナリンの出方をコントロールするのは,
「望ましい基本的生活習慣と人間関係づくり」しかありません。
学校に通うのが一番の治療方法です。
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