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国土強靱化推進室って知っていますか?

 「国土強靱化推進室」とは,国のどのような機関に属する部署かご存じですか?

 国土交通省?

 経済産業省?

 農林水産省?

 正解は,「内閣官房」です。

 
 国土強靱化推進室が発行し,学校に配布された資料を手に取ってみました。

 タイトルは「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック
 
 「防災まちづくり・くにづくり」を考える というA4サイズで19ページほどの小冊子です。

 
 この冊子の中に,おそろしい「災害の後遺症」が紹介されているのが気になりました。
 
 災害が起こると・・・

>日本全体が災害で「不況」になる

>(それが長引けば) 被災した地域が消滅の危機に。

>日本全体も,復興もできず,凋落の一途に・・・。

>今では想像出来ないほどの「貧しい国」に。

>国際的な地位も凋落し,外交も低迷。

>「税収」も大きく減って,防災,教育,福祉,国防・・・等ができない国に。

 おそろしい将来予測ですね。

 小中学生にそれなりの衝撃を与えるねらいがあることがわかります。

 「国土強靱化推進室」のお仕事ですから,視点が「国土」レベルというのが影響しています。

 「防災まちづくり」学習ではなく,「防災まちづくり・くにづくり」学習であるところがミソなんですね。

 
 小学生が楽しめそうな作業ができるのは,

 白地図に市役所や病院,工場や発電所,ダムや津波タワー,住宅を配置していけるページなのですが,

 海と山が接近し,川が流れているという特殊な地形の場所は,地域によってはそれほど多くはありません。

 しかし,災害が起こりやすい地域であることはたしかです。

 さすがに小学生に「国土」レベルの視点で考えさせるのは難しいので,このような「まちづくり」の視点に限定されることになります。

 ただ,「まち」レベルだと,「ここは危ない」という実際の場所に住宅がある子どもはどうしたらいいのでしょう。

 家に帰って,「こんな場所に住んじゃだめだよ」と親を問い詰めるのでしょうか。
 

 防災・減災教育を推進するためのキーワードは,

 「自助」「共助」「公助」の3つです。

 この3つの言葉を考えるページの見開きに,先ほどの「衝撃の未来」があることはプラスとなるか,マイナスとなるか・・・・。

 結局,「自分で自分を守ったり,地域で助け合うにも限界がある。政府や行政がどんどんお金をつかって防災のための整備を進めるべきだ・・・・」という結論が見えてきてしまったりして・・・・。
 
 どれだけ消費税が増税されても,防災や減災のためにお金を使うべき,という意見をもてる小学生,中学生を増やすことが大切だ,という意図がよく伝わってきます。


 こうしたパンフレットは,教師が道徳や社会科の授業でふれることで,その教材としての価値を高めることができます。

 子どもの疑問は,このように教師につきつけられます。

 「こういうまちづくりをするのに,いくらかかるのですか? 税金で足りますか?」

 「税金は今でも足りていません」

 「では,どうしたらいいのでしょう」

 「増税?」

 「防災をあきらめる?」

 「自助と共助にたよる?」

 「もともと災害がおこりにくい地域に人々が住むようにする?」

 アクティブ・ラーニングとよばれる学習が可能になりそうです。


 ところで,国土強靱化をPRするためのポスターのモデルさんが,少し痛いところです。

 イメージキャラクターが『かつては強靱だった人』では,どうにもかっこがつきません。

 「ナショナル・レジリエンス」という言葉が一般の人になじみのある言葉になるまでには,相当の時間がかかりそうですね。
 
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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より