「一人も見捨てない」という心を育てる方法
「一人も見捨てない」という「きれいな言葉」は,菊池省三さんの実践では「子どもが語り始めたこと」だそうだ。
それなら意義があると思える。
おせっかいなやつが増えた,と煙たがられても,いざというときに頼りになりそうだ。
教師が言い出したり,やり出したりするようなことではなく,子どもが抱くことができるようになった「一人も見捨てない」という意識。
一歩間違えば,「玉砕」にも結びつきかねないこういう言葉がはやることには,危惧もある。
ただ,子ども自身が語ったり,抱き始めることには大きな意義があろう。
どうしたらそのような思いが抱けるのか。
実は,そう簡単な話ではない。
壮絶な経験を経て,そんな思いを強く抱くパターンの方が多いだろう。
教員の立場から言わせてもらえば,「一人も見捨てない」なんてことは当たり前すぎてわざわざ口に出すまでもない言葉である。
もしそんな言葉が教員の口からもらされたとしたら,それだけわざとらしさ,胡散臭さを感じるのを禁じ得ない。
「当たり前だろう」という反応しかない。
難しいのは,そういう気持ちを子どもに「伝染」させることである。
教員の側からすると,一歩間違えば,一部の子どもへの「えこひいき」になる。
中学校では,一見すると「放り投げている」かのように思わせるような「引きつけ方」が必要である。
鬱陶しさを味わわせずに,できるところまで挑戦させ,目立たないフォローをするような教師の技は,もしかしたら子ども時代にしか習得できないものなのかもしれない。
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