東京アスペ大学と「障害」のハードル
東京大学にはアスペルガー症候群の学生が多いというニュースがネットに出て,さまざまな反応があるようだが,さすがに4人に1人というのは多く見積もりすぎだろう。
私の在学中は,語学の教室に一緒にいた学生や体育の授業を受けた学生の中に,そのような人はほとんどいなかった。
体育会で一年中一緒に過ごした先輩・後輩・仲間にも,アスペの人はいなかった。
最近はそういう学生が増えているのだろうか。
アスペの人には,並外れた集中力や記憶力がある,という一般常識が「それらしさ」を補強しているようだが,集中力や記憶力があるだけでは,さすがに合格は難しかろうと思われる。
私の教え子で東大に進学した生徒たちも,高度なコミュニケーション能力を持っていた。
とはいえ,「一人もいるわけがない」とはさすがに言えない。
また,「アスペルガー症候群」と誤解されるような言動をする学生が多くいるであろうことは予想できる。
障害と判断するときのハードルを社会全体で下げていってくれるご時世というのは,それほど悪いものであるとは思わない。
むしろ歓迎したい。
みんな,それぞれの程度の障害をみんなもっているという感覚の方が,障害への差別意識が和らぐのではないか。
もし,アスペの診断を受けて悩んだり苦しんでいる人の気が少しでも楽になるのであれば,東京アスペ大学という呼び名も捨て去らなくてよいと思う。
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