容疑者「K」の落とし方
覚醒剤所持の現行犯で逮捕された容疑者「K」さんは,入手先については口を閉ざしているという。
取り調べのベテランは,いくつかの「落とし方」の技をすでに試しているのだろうが,成功に到っていないということは,それだけ容疑者の心の闇が深いということではないだろうか。
同じレベルで比較することはもちろんできないが,学校の教師にも,「落とし方」の常套手段がある。
今回の件で共通するところがあるとすれば,
「孤独にさいなまれている容疑者が,本当に親身になって自分のことを考えてくれていると誤解した相手をかばっている」ケースか,
「ばらしたらとんでもないことをされる」と脅されているケースのどちらかである。
落としやすいのは前者の方で,「誤解」に気づかせることに成功し,学校の場合は「先生方の方が味方なのだ」と思わせることができれば,「本当に反省すべき生徒」を突き止めることができる。
後者の場合でも,脅していた生徒の方の指導に成功すれば,解決に結びつくこともある。
キーワードは,「本当の意味で頼れる存在とは何か」に気づかせることであり,
学校の場合,警察と違うのは,いつも生活をともにする「仲間」であり「家族」のようなものであることを実感させられる場であるということである。
警察にお世話になった方は,いずれ,社会への復帰を果たさなければならない。
社会の方でよいかたちで受け入れることができれば,再犯の可能性が下がるだろうが,ここが学校と社会の一番の違いである。
「心を入れ替えた」つもりになっていても,やがて以前と同じような自暴自棄の気持ちだったり孤独に襲われたりすると,元の木阿弥になりかねない。
頂点と最底辺を経験した容疑者「K」さんの振れ幅の大きさは想像もできないが,頂点に立てた環境の中にいた分,まだ希望は捨てずにすむと思われる。
賭博に覚醒剤。
プロ野球界は「お楽しみ界」ではないことを思い知らせてくれた。
母親,子ども,野球少年・・・・・「落とし方」はいくらでもありそうだが,すでに復帰後の「回想録」を書き始めているゴーストライターがいそうなのも怖い。
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