「バカ」の周りには「バカ」が集まり,「支援を必要とする人」の周りには,「人間」が集まる
幾度となく,自分の目で見てきた風景があります。
それば,「バカ」の周りには「バカ」が集まっていくということ。
「烏合の衆」は,集まってもただギャーギャーと鳴いているだけのバカな鳥という評価が烏に下されていたので,できた言葉だとされています。
今は,烏は知能の高い鳥として知られていますが。
「有象無象」「野次馬」なども似たニュアンスの言葉でしょう。
ただ集まっているだけのように見えるものを,「バカ」なものと見るか,
そうではない何かを持っているものと見るかで,「見る側の人間性」がわかるというものです。
教育の世界にいる人間としては,「バカ」という言葉を使うのは非常に大きな抵抗感を覚えます。
冷静さを欠いているときには出てしまう言葉かもしれませんが,
少なくとも論理的な文章を書くときには使用しないことばでしょう。
新年の5日にある研究会に参加させていただいたのですが,
「低学力の生徒」の指導のあり方が話題になりました。
私は「学力が低い」という言葉ではなく,「これからものすごく伸びる可能性がある」というイメージで向き合うべきと主張しました。
生徒の立場から見れば,「自分のことを学力が低い生徒という目で見ている先生」より,
「これから学力が飛躍的に伸びる生徒という目で見ている先生」でいてほしいのは明らかですから。
問題は「どう伸ばすか」であることには変わりはないのですが,
「低い」というネガティブな言葉から出発するのではなく,
「本当の出発点にいる」というイメージを持つことで,授業の構想,構成自体が変わる可能性があるのです。
相手を「バカ」と言ってしまうというのは,その相手からは恨まれる,憎まれる存在になってしまうという
「バカ」な行為をしてしまうということになります。
そもそも「困っている人」を助ける,「支援を必要とする人」に自立のチャンスがつかめる何かに気づいてもらう,そういう発想がない人間には,教師などつとまらないのです。
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