小中一貫校の方がかえって中1ギャップが顕在化する
教員養成段階から見ても,日本の初等教育と中等教育は全くの「別物」と考えてよい。
小中一貫校の先生方が,「小学校7年生が増えて困っている」と嘆いている話は以前にも紹介したが,
いよいよ発達心理学の面から見ても,小中一貫校の欠点が明らかにされようとしている。
公立の小中一貫校の場合,何が魅力かというと,
「問題教員が配置されるはずがない」という安心感が第一に挙げられる。
中高一貫校でも同じである。
それなりに力量がある教師しか,配置されていない(ような気がする)。
ただ,どんなに指導力があっても,
子どもの発達にとって望ましくない環境が整ってしまえば,
無理矢理よい方向へと持って行くのは至難の業である。
最近,「エビデンス」という言葉が新聞等でも使われるようになっているが,
教育の世界で「根拠」を示すことも,実は難しいことではある。
日本の学校現場のデータを公開してほしいと,
『「学力」の経済学』の著者の中室牧子さんは訴えている。
まさにその通りだが,文科省にとっては都合の悪いデータ(財務省にとっては都合のよいデータ)ばかりだから,ガードが甘くなることはないだろう。
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