小中学校における児童虐待
児童相談所への相談件数が増加の一途をたどっているという。
児童虐待の定義の範囲が広まったことが背景にあるというが,
増加の一途をたどる「相談」自体も,実は氷山の一角にすぎないであろうと多くの教師は感じているだろう。
「学校は閉ざされている」と批判されている。
しかし,「閉ざしていて当然の家庭」の実態がつかめない学校の教師が,
確かな情報をつかみ,子どもを理解することは難しい。
学校の中には,今や教育機関というより,福祉施設のような様相を呈しているところがある。
施設内でも虐待が起こることがあるが,情報が外にもれにくいのは,
子どもが幼く,「閉ざされた空間」になりがちな小学校の「学級王国」である。
児童虐待にはネグレクトも含まれる。
指導に従わない児童を放置している学級があるが,これはネグレクトに近い。
担任教師による「言葉の暴力」といわれる精神的虐待も,接している時間が長い小学校で起こりやすい。
中学校では,入学当初から教師不信の塊のような子どもを見ることがあるが,
子どもの視野を広げてあげるには,さまざまなエピソードを語ってあげることに限る。
「まだ自分はましだった」と思わせることができるようなエピソードが豊富に聞ける立場にあるということは,
指導上有効的であるとは言っても,決して幸せな気持ちがすることではない。
学級を留守にすることが多い小学校の担任教師の姿を想像することができる人はいるだろうか。
「ネグレクト教師」は「(遊んでばかりで)楽しかった小学校生活」を演出してくれたが,
そのおかげで深刻となった学力不信をとりかえすのは,なかなか困難なものである。
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