不満のぶつけどころがない人の悲哀
家族が一人もいない生活を送っている人が増えている。
愚痴を言われないかわりに,自分も愚痴をこぼせない。
厳しい言葉をかけられる心配がないのと同様に,優しい言葉をかけられることもない。
ネットのように不満の「処理場」を持っている人は気を紛らわせることができるかもしれないが,
「思い出」だけではやがて生きている実感を失いかねない。
家族とは何だろうか。
実は,家族がいるのに同じような境遇にある人も少なくないことを知っている。
教育現場にいると,多くのことを知ることになる。
子どもたちの心の健康は,学校だけで守れるものではない。
学校は一時的な避難所として使えるところかもしれないが,
学校の中の保健室にしか避難できない子どももいる。
経済的な貧困だけが,子どもを蝕んでいるのではない。
心の貧困の解消に,どれだけの大人が自覚的になれるかが,
将来全く同じような境遇の子どもをつくってしまうかどうかの別れ道となる。
自分の力不足を見苦しい他人批判で紛らわすような行動をとる大人をいろんな場で目にする。
「恥」の文化が失われてしまったことが残念でならない。
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